芸能

たけし軍団40周年記念ドキュメント~我々はこうして殿の下に集まった~(3)四谷のマンションで本人直撃

 やがてたけしが出演する番組で、弟子たちと共演するようになる。野球チームのメンバーたちは「スーパーJOCKEY」では「ガンバルマン」と呼ばれたが、「アイドルパンチ」(テレビ朝日系)で「たけし軍団」と命名されていた。実に40年前のことである。

 タカや枝豆は自分から弟子入りを願い出たわけではなく、拾ってもらった想いが強かった。そのうえ年齢や芸歴もおおむね上だったが、立場的には後輩になる。当初は気を遣ってギクシャクすることもあったが、

「でも、不思議なもんだね。2カ月、3カ月と野球やって飯食って騒いでると、全員、たけしさんの弟子ということで『ヒエラルキーはないよな』って」(タカ)

 同じ83年、弟子入り直訴をするためにニッポン放送を訪れる男がまた現れた。高校を卒業して2年間、板前修業をしていたラッシャー板前だ。

 しかし、ラッシャーがたけしの前に歩を進めるより先に3、4人が土下座をしていた。その光景に圧倒されて何もできずにいると、たけしは帰ってしまった。

 どうしようかと途方に暮れそうになったが、あきらめはしなかった。週刊誌に「ビートたけしが住む四谷の某マンション」として、そのマンションと両サイドの建物の写真が掲載されていたことを思い出したのだ。

 夜が明けようかという時間帯だが、その足で有楽町から四谷に向かうと、奇跡的に1時間ほどでそのマンションが見つかった。

 1階から順に手がかりを探るように、フロアを徘徊していった。すると603号室から賑やかな話し声が聞こえてくる。ここだろう。勇気を振り絞ってインターホンを押した。

 ダンカンが出てきた。

「何だ、君は?」

「弟子になりたいんです」

「無礼者! そういう神経、君、まったくダメ」

 最初は取り合わなかったが、それでもラッシャーはあきらめなかった。翌日、たけしが所属する「太田プロダクション」に弟子入りの意思を伝えに行ったが、「本人との話し合いだから」と言われ、再び、あのマンションを訪問した。そして、昼の1時頃からひたすら待った。日付が替わった0時半頃、たけしが1人で帰ってきた。

「あわあわあわあわ‥‥」

 目が飛んでうろたえるラッシャーの姿を見て、後にたけしは「刺されると思った」という。なにせ、自宅前で待っていたのはパンチパーマに赤と黒のオープンシャツ、亀の甲羅模様が入ったニュートラルズボンをエナメルの白いベルトで留めたチンピラ風だったのだから‥‥。

「何だ? 何だ?」

「弟子になりたいんです」

「夕べ来たあんちゃんか?何時から待ってたんだ?」

「昼の1時からです」

 ローレックスのダイヤ入りの時計に目をやって、たけしは言った。

「とりあえず話聞くから、中入れ」

 ラッシャーはその日から、西新宿にあったダンカンが住むアパート「ゆたか荘」で世話になる。当時すでにユーレイも同居していた。

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