芸能

腸炎は「仮の病名」か…絶食を強いられ闘病の詳細を伏せたまま逝った谷村新司「男の美学」

 あの日曜日の冷たい秋雨は、お天道さまの涙雨だったのだろう。

「アリス」のメンバーでシンガーソングライターの谷村新司さん(享年74)が今月8日に亡くなっていたことがわかった。葬儀は15日に近親者のみで執り行われたと、16日に所属事務所が発表している。

 所属事務所は「今年の3月に腸炎での手術を行い、療養を続けておりました谷村新司ですが、10月8日に息を引き取り、永眠いたしました。本人も回復に向けて頑張っておりましたので、本当に残念に思います」

 と無念さを滲ませるコメントを発表した。

「ミヤネ屋」(日本テレビ系)の生放送中に舞い込んだ突然の訃報に、コメンテーターとして出演していた高岡達之氏(読売テレビ特別解説委員)は「チンペイさん、早いです」と、涙で言葉を詰まらせた。

 40年前、高岡氏がMBSラジオ「ヤングタウン」の学生アシスタントだった当時、谷村さんと5年間、一緒に仕事をして以降、親交が続いていたという。

「とてもかわいがっていただきました。大阪城ホールの楽屋にも呼んでいただいて、テレビ局に就職したと言ったらしても喜んでくれた。われわれの手の届かない、中国の偉い方とも交流されて。でも読売テレビで私の顔を見れば『元気か』と言ってくださった。テレビでは言えませんけど、大人の作法というのを教えていただいた。あまりに早いです」

 どうにか言葉を紡ぐのがやっとだった。

 今年3月に受けた急性腸炎の手術はおそらく「仮の病名」なのだろう。緊急手術が必要なほどの重篤な病魔との闘いは、まさに「チャンピオン」の歌詞そのもの。腸が炎症を起こしたり破れたりすると、絶食を余儀なくされる。酷暑の中でも水を飲むことすらままならない。それでも谷村さんは闘病の詳細を明かさず、最期まで男の美学を貫いた。

「信じない。いやいや、俺は信じない。何度か電話しても出ないから、どっか旅にでも出たに決まってる」

 自身のインスタグラムに悲痛な心境を寄せたのは、シンガソングライターのさだまさしだった。まさにファンや音楽仲間には、遠い旅に出ているかのように思わせて、旅立ってしまった。

 谷村さんといえば「セイ!ヤング」(文化放送)を連想するほど、ラジオパーソナリティーとして秀逸だった。今の時代、セクハラと言われかねない世間のおじさん達の下ネタの元ネタは、ほぼ谷村さんだったと断言してもいい。

 MBSラジオは10月20日の「MBSヤングタウン金曜日」、文化放送は10月17日の「武田鉄矢 宵の三枚おろし」、そして10月21日には谷村さんと共に長年、文化放送の顔だった吉田照美の「伊東四朗 吉田照美 親父・熱愛」をそれぞれ、特別追悼編成にすると発表している。ハンカチじゃ涙を吸いきれない。分厚いタオル必携でじっくり聴いていただきたい。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    塩試合を打ち砕いた!大谷の〝打った瞬間〟スーパー3ランにMLBオールスターが感謝

    日本時間の7月17日、MLBオールスター「ア・リーグ×ナ・リーグ」(グローブライフフィールド)は淡々と試合が進んでいた。NHK総合での生中継、その解説者で元MLBプレーヤーの長谷川滋利氏が「みんな早打ちですね」と、少しガッカリしているかのよ…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , , |

    新井貴浩監督が絶賛!劇画のような広島カープ野球の応援歌は「走れリュウタロー」

    プロ野球12球団にはそれぞれ、ファンに親しまれるチームカラーがある。今季の広島カープのチームカラーを象徴するシーンが7月初旬、立て続けに2つあった。まずは7月4日の阪神戦だ。3-3で迎えた8回裏、カープの攻撃。この試合前までカープは3連敗で…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
岡田監督よく言った!合計43得点のオールスター戦が「史上最もつまらなかった」とファンが怒った当然の理由
2
巨人・阿部慎之助監督のエンドラン外し「捕手の勘だった」発言に江川卓が「それはない」異論のワケ
3
認知症の蛭子能収「太川陽介とバス旅」は忘れてもボートレース場で「選手解説」ギャンブラー魂
4
レジェンドOBなのになぜ!ド低迷の川崎フロンターレ「中村憲剛」新監督案をサポーターが拒絶
5
【衝撃事実】見たのは誰だ!トランプ銃撃犯は「11分間ドローンでライブ配信」していた