社会
Posted on 2015年03月13日 17:55

重大病が見つかるチェックリスト「花粉症」(2)

2015年03月13日 17:55

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 では、チェック項目(ページ下部)を見てみましょう。花粉症は、それまで全然平気だった人が、ある年から突然発症することも珍しくない病気です。

 【1】~【5】に当てはまる人は、今は大丈夫でも、これから突然発症する可能性がありますから、十分注意してください。

 【6】以降は、「これがなぜ花粉症と関係あるの?」と不思議に思われるでしょう。実はこういう人が本当に花粉症になりやすいんです。

 【6】は、女性ホルモンであるエストロゲンが多い傾向にある人ほど、人さし指が長くなる傾向にあり、エストロゲンが多いとアレルギーにつながる可能性が高くなるからです。

 【7】は、プールに使用されている塩素系化合物が、水面で有害なガスを揮発させるため、肺の上皮組織を痛めてしまうのです。そうした刺激を慢性的に受けている人はアレルギー性の病気になりやすい。ドイツで行われた研究によると、学童時代に頻繁にプールに通っていた人は、花粉症を発症する確率が通常よりも74%も高くなるそうです。

 【8】は、犬や猫の毛には花粉がつきやすいので、散歩などで外に連れ出してから部屋に入れると、気づかぬうちに花粉を持ち込んでしまいます。

 【9】は、フィルターのように花粉が鼻の粘膜に入るのを防ぐ役割をしている鼻毛を切りすぎると、花粉が粘膜につきやすくなり、花粉症になりやすくなります。

 そして【10】は、生トマトにはヒスタミンが入っているので、特にスギ花粉症を悪化させると言われているからです。他にもホウレンソウやナス、タケノコなどにヒスタミンが多く入っています。またキウイやパイナップルはセロトニンを多く含み、ハムやソーセージには亜硝酸塩など、過敏性を高める可能性がある成分が含まれています。これらの食品は、花粉症を悪化させないために控えたほうがいいでしょう。

 逆に花粉症対策にいい食品は、ヨーグルト、青魚、甜茶や緑茶、イモ類、シソ、バナナなどです。ヨーグルトは、腸内環境を変化させることでアレルギーを抑えると注目されています。青魚のEPA・DHAもアレルギーの原因となるロイコトリエンの成分を少なくしてくれます。甜茶や緑茶にはタンニンが多く含まれます。

 ジャガイモやサツマイモなどのイモ類にも抗ヒスタミン作用があり、特にレンコンは腸の調子を整え、アレルギーを正します。シソにはロズマリン酸というポリフェノール成分が含まれ、アレルギーの症状をやわらげます。バナナは、一日約2本、2カ月食べることで花粉症によるくしゃみなどの症状を緩和させるという報告があります。

 花粉症への影響を考えるうえで、おもしろいのはトマトです。先ほど生トマト(生食用トマト)は花粉症を悪化させると言いましたが、トマトやトマトジュース、ケチャップの原料である加工用トマトにはナリンゲニンカルコンというポリフェノール成分が含まれ、花粉症の症状をやわらげると考えられています。

 ここからは、花粉症のウソ・ホントです。

●目薬をさしたあと、目をパチパチするといい⇒ウソ

 目薬をさしたあとは、しばらく目を閉じて、さした目薬が鼻や喉に流れないよう、目頭を軽く押さえる、が正解。ある医療メーカーの調査では、9割以上の人が、正しい点眼をできていなかったそうです。

●晴れた日が続くと花粉症が多くなる⇒ウソ

 前日が雨で、そのあと天気が回復し、南風が吹いて気温が上がる日が最も危険。なぜなら、雨で地面に落ちた花粉が乾いて、再び空気中に舞うから。時間帯は正午と午後6時頃が危ない。

●花粉症になったら赤ワインを飲むといい⇒ウソ

 お酒は炎症を悪化させるので禁物。ただし、赤ワインのポリフェノールに花粉症の予防効果が認められるという報告があるので、花粉症になる前に、適度に飲むのはいいでしょう。

●花粉症は、春だけの病気⇒ウソ

 一年中さまざまな種類の花粉が飛んでいるので、それぞれの季節に、それぞれの花粉症があります。例えば、イネの花粉が飛ぶ夏から秋だけ、花粉症になる人もいます。

 いかがでしたか? 最近はダチョウの卵を花粉症の予防に役立てたり、「花粉症緩和米」という花粉症の抜本的な治療を目指したお米が開発されつつあるなど、花粉症の研究もずいぶん進んでいますから、近い将来、花粉症を克服できる日も訪れることでしょう。

 その日までくじけず頑張ってください。

──花粉症チェック項目──

【1】毎年決まった時期に、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりが生じる

【2】家族にアレルギー体質の人がいる

【3】タバコを吸う人が家族にいる

【4】クルマの通りの多い道路の近くに住んでいる

【5】鼻や喉などの気管支が弱く、カゼをひきやすい

【6】薬指より人さし指のほうが長い

【7】子供の頃、よくプールで遊んでいた

【8】家の中で犬や猫を飼っている

【9】鼻毛をよく切っている

【10】生トマトが好きでよく食べている

※0~3個は経過観察、4~6個は医師に相談を。7個以上は医師の診察を受けてください

◆監修 森田豊(もりた・ゆたか) 医師・医療ジャーナリスト・医学博士。レギュラー番組「バイキング」(フジテレビ系)など多数。ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修も務めた。

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