オウム真理教の教祖・麻原彰晃の私選弁護人だった横山昭二弁護士にインタビューをしたことがある。2002年のことだ。1995年6月に麻原の弁護士になった横山氏はマスコミに追い回され、「もうやめて~」と叫んだひと言で、全国的に有名になった。横山氏のモノマネをする芸人が出たほどだ。わずか4カ月後に解任されたが、オウムの弁護士=横山氏というイメージが形成された。
横山氏に会ったのは、その6年後。新宿のホテルの喫茶店で話を聞くことになった。
筆者と横山氏が席についた直後、隣の席に一見して「その筋」の人間とわかる、コワモテ風の4人組が座った。その中のひとりが横山氏の顔を見るなり「横山先生じゃないですか!」と声を上げる。そして筆者に対し「失礼のないように」と釘を刺すようなことを言ってきた。
さらに取材している最中にも「もっと丁寧に聞けよ」などとチャチャを入れてきた。さすがに横山氏も戸惑っていたようだ。
日本で最も有名な弁護士だったとはいえ、あれから6年も経っているのに…と不思議に思ったものの、横山氏は暴力団関係の弁護を数多く担当しており、この界隈では「超」がつくほど有名人だったようだ。
幸い4人組が店を出た後は、普通に話を聞くことができた。横山氏はオウム真理教に対する検察のやり方について「ひどかった」などと批判。生活ぶりについては「日々、大好きな歴史の勉強をしている」「今がいちばん幸せです」とも語っていた。
この5年後、横山氏は病気のため亡くなった。筆者に話していた通り、幸せで安らかな最期を迎えたに違いない。
(升田幸一)