Posted on 2025年11月28日 10:45

香港「高層マンション大火災」で住民が恐れる習近平政府の「本当の情報隠蔽と報道統制」大災害であった「これだけの前科」

2025年11月28日 10:45

 香港北部の大埔区で11月26日に発生した高層マンション火災。香港当局は27日、出火元とみられるマンション外壁の修繕工事を請け負っていた会社の幹部3人を、過失致死の疑いで拘束。原因究明を進めているという。

 香港メディアによれば、問題のマンション群(8棟)は1983年に完成した。今回、火災が発生した7棟は昨年7月から大規模な修繕工事が行われており、全8棟には約2000戸が入居。4000人以上が暮らしていたという。

 実に77年ぶりという大火災に対し、香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は、3億香港ドル(3860万ドル)の住民支援基金設立を発表。中国の習近平主席もさっそく追悼の意を発表した、と報道されている。

 ところがここで香港の住民から湧き上がっているのが「今後は中国政府の指示により、香港政府が都合の悪い情報を隠匿して、報道規制が敷かれるのではないか」といった懸念だ。国際部記者が解説する。
「中国では『社会の安定』と『体制の正当性』維持のため、これまでも大規模災害や事故においては数多くの情報隠蔽や、被害者数の過少報告が行われてきました。最も有名なのは、1976年7月に河北省唐山市で発生した、マグニチュード7.8の巨大地震です。当時、中国は文化大革命末期で政治的混乱期だったこともあり、政府はこの地震発生の事実を隠蔽。その後も中国では、常識では考えられないような事例が実際に発生しています」

 2021年7月には河南省鄭州市などで、記録的な豪雨による大規模洪水が発生したが、この際も当局は被害実態や悲劇的な側面をひた隠し。地下鉄内の犠牲者数や全体の死者数公表に消極的だったことで、海外メディアのバッシングに晒された。
「中国共産党には今もなお、災害による混乱や失政を隠すことこそが『国家の安定』に繋がるという考えが根強い。それが報道を封じ、透明性をないがしろにし続けてきた最大の要因です。近年では武漢での新型コロナウィルス発生を隠し続けたことは、よく知られる話ですね」(前出・国際部記者)

 香港の行政長官は、中国共産党トップの習近平の信任を受けた「実行部隊のトップ」。習近平とはいわば主従関係にある。その証拠に香港の保安局長や政務司司長などを歴任した李氏は2019年の大規模デモ鎮圧で、中央政府への揺るぎない忠誠心と実行力を証明している。2022年の行政長官選挙では、中央政府に支持される唯一の立候補者だった。つまりは中国政府の傀儡というわけである。

 そう考えると、今回の大火災も中央政府が過熱報道をよしとせず、「このまま報道され続けたら香港の都市管理の失敗と受け取られる」と判断した場合、香港当局が「統制」「情報隠蔽」に舵を切ることは十分に考えられるのだ。

(灯倫太郎)

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