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Posted on 2026年01月18日 10:00

〈告白①馬主・小田切光オーナー〉“チーム・カラテ”でつかんだ勝利と後悔…「負けた時は眠れないし食事も喉を通らない」/2026年「午年競馬」に酔いしれよう!

2026年01月18日 10:00

 カラテ、ナミノリゴリラ、ボクマダネムイヨ─。一度聞いたら忘れられない馬名の数々でファンを沸かせている小田切光オーナー(52)。その裏にはドラマでは描き切れない、ホースマンとの深い絆と、勝ち負けに一喜一憂する“等身大の馬主”の姿があった。

「僕が馬主になろうと思ったきっかけの1つが、昨年調教師を引退された音無(秀孝)先生と馬主である父(有一氏)との関係性でした。長い時間をかけて、人と人がつきあえる関係を持ち続けることって、そうそうないですからね」

 音無元調教師が騎手として活躍していた85年、ノアノハコブネでオークスを制し、有一氏とともに初GⅠ制覇。それから21年後、06年の高松宮記念をオレハマッテルゼで制し、有一氏は2度目のGⅠ勝利を挙げた。同馬の管理調教師は音無師で、音無師にとって初めてのGⅠ制覇となった。

「僕の場合は高橋祥泰(元)調教師から『一緒に馬を育てていこう』と言ってもらって、馬主人生が楽しくなりました。その時の1頭がカラテです」

 デビュー戦は18年8月11日の新潟芝1800メートル。14頭立ての13着に終わり、未勝利を勝ち上がるまでに8戦、2勝目はそれからさらに10戦を要した。

「なかなか勝てず、高橋先生たちと試行錯誤を続けていました。いつ、どこで使うのか。乗り方は? などみんなで話し合うんですけど、結果がついてこない。そこで距離を短縮して初めてマイル戦を使うことにしたんです。ジョッキーも初コンビとなる菅原明良騎手でした。6月13日の東京で雨が降る不良馬場の中、2着馬に3馬身半差をつける激走でした。この2勝目はまさに“チーム・カラテ”で勝ち取ったもので、それまでの道のりは、どこかドラマの『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)のような感じでしたね」

 09年に馬主資格を取得してから12年目の21年、愛馬カラテで重賞初制覇(東京新聞杯)。続く翌年の新潟記念、23年の新潟大賞典も制して重賞3勝目を挙げたカラテだが、それ以降、昨年7月に引退するまでの14戦は、掲示板に載ることはなかった。

「負けた時は、ほんと言葉にできないぐらい悔しくて‥‥。夜は眠れないし、食事も喉を通らない。勝つことが難しい世界だとわかっていても、馬主を辞めたくなることさえありました。でも、そこを乗り越えた先に待っている勝利が、また格別なんですよ。それをカラテが教えてくれました」

 カラテは勝利の美酒だけではなく、人と人をもつないでいく。高橋師の引退に伴い、辻野泰之厩舎へ移籍したのは、蹄が弱かったことがきっかけ。蹄に不安のあったロータスランド(重賞2勝)を6歳春まで走らせた辻野調教師から腕利きの装蹄師を紹介されると、松若風馬騎手の父だった。

「カラテは引退後、東京競馬場の誘導馬として第二の人生を歩んでいますけど、ほんと、思い出は尽きませんね。春のグランプリの宝塚記念には2度、出走させていただきましたが、やっぱり、1年の最後を締めくくる有馬記念に出たい。そして勝ちたい。それが僕の夢でもあります。実はカラテにもチャンスはあったんです。新潟記念を勝ったあとの天皇賞・秋で6着。その時、次走でジャパンC(8着)を使ってほしいと辻野先生にお願いしてしまった。結果、疲れが出てしまって‥‥。出走させることも難しい有馬記念が目の前にあっただけに、ファンの方にも申し訳ないし、今でも後悔があります」

 光オーナーの口癖は「ファンあっての競馬」。その思いの1つがSNSによる2歳馬の馬名の公募だ。

「競馬ファンの方たちに楽しんでもらいたいですからね。父もファンに楽しんでもらいたいという気持ちからおもしろい馬名をつけていましたが、テレビに出演する時は顔を出さない。でも僕は逆です。もっとファンの方たちと一緒に楽しみたいというスタイルです。馬名募集企画には500以上のユニークな馬名が届きました。その中から僕が4頭に絞り、最後はファン投票で決めます」

 現在の所有馬で注目を集めているのが、昨年9月21日に行われた阪神6R2歳新馬戦(ダート1800メートル)を7馬身差で圧勝したボクマダネムイヨだ。

「実はあの日のレース後、真っ先に音無先生から電話があったんですよ。『おめでとう。クリソベリル(デビューから6連勝でチャンピオンズCを制覇)と一緒だな』って。ボクマダネムイヨの父は音無先生が預かっていたクリソベリルで、デビュー戦が18年の同じ第4回阪神開催のダート1800メートル戦。しかも同じ7馬身差の圧勝だったんです。2戦目は3着に敗れてしまいましたが、不利もありましたからね。今後、活躍してくれれば、音無先生にも楽しんでもらえると思いますし、大きいところまで上り詰めて、多くの人たちに恩返しをしたいです」

小田切光(おだぎり・ひかる)1973年生まれ。(株)ダブルスマイル代表取締役を務めるほか、子ども食堂などに力を入れる飲食店「だしとこな」(東京・月島)などを経営する実業家。一般社団法人「九州馬主協会」副会長。09年に馬主資格を取得。重賞はカラテの3勝のほか地方で5勝を挙げている。現役馬はボクマダネムイヨ、ネルコハソダツ、オヤツノジカンなど。

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