社会
Posted on 2026年05月11日 18:30

死のクルーズ船「ハンタウイルス大パニック」オランダ人夫婦は「バードウォッチング」直後に不調に陥っていた

2026年05月11日 18:30

 ハンタウイルスの集団感染が疑われるクルーズ船「MVホンディウス号」(オランダ船籍)が現地時間の5月10日に、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島に到着、日本人1名を含む乗客ら94人がクルーズ船から退避した。
 日本人は日本政府とイギリス政府の「第三国における邦人保護」覚書に基づき、イギリス人とともにイギリス政府チャーター機でイギリスに移送され、45日間の健康観察を受ける予定。このクルーズ船から日本国内に直接、ハンタウイルスが持ち込まれるおそれはなくなった。

「MVホンディウス号」がパニックに陥ったのは4月上旬。オランダ人夫婦と、ドイツ人女性が船内で次々と熱を出し、鮮血混じりの泡を吹いて倒れた。オランダ人の男性とドイツ人女性は船内で死亡。夫を看病していた妻も下船後、まもなく亡くなった。WHOによると、死者3人のほか、3人を診察していた船医ら3人のハンタウイルス(アンデス株)感染が確定している。

 ハンタウイルスはネズミが感染源だという報道を見聞きして、クルーズ船内にいたネズミから感染したと勘違いしている人がいるかもしれない。「MVホンディウス号」の名誉のために書いておくと、不運な船医を除く5人には「共通点」がある。

パタゴニアの観察小屋や宿泊ロッジがネズミの糞尿で汚染

 アルゼンチンの港からクルーズ船に乗り込む前に地球最後の秘境、南米大陸の南端パタゴニアでバードウォッチングを楽しんでいた。ハンタウイルスの自然宿主は、ネズミなどの齧歯類。パタゴニアに生息する、ちいかわやピカチュウのような可愛いネズミたちもまた、ヒト・ヒト感染を起こす厄介なハンタウイルス・アンデス株を持っている。

 パタゴニアでのバードウォッチングやピューマ観察に使われる観察小屋、宿泊ロッジなどの施設は、これらネズミの糞尿で汚染されていることがあり、埃や土煙とともにハンタウイルスを吸い込んでしまう。死亡したオランダ人夫婦はバードウォッチング後、乗船前から体調を崩していたという。
 なお、このオランダ人夫婦はバードウォッチングの途中、ゴミ処分場を訪れ、ここでネズミに接触した可能性がある、との報道もあるが…。

 ダイナミックな氷河の崩落やプライベートサファリなどの雄大な自然を求め、日本からもシニア富裕層が多く訪れるパタゴニア。現地ロッジに宿泊する際には窓を開け、十分に換気することがハンタウイルスの感染予防になるという。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

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