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記事全文を読む→“六代目山口組 特定抗争指定解除のXデー”山口組総本部「63年の物語」(1)近隣住民にも開放された総本部
11年前に始まった分裂抗争影響で、六代目山口組が総本部を使用できなくなって久しい。同地に居を構えておよそ63年、近代の山口組の歴史を見守ってきた総本部への帰還は、司組長と全ての組員にとって「本懐」だ。7年近く、人の手が入らないまま閉鎖された“本丸”の状態が一変しそうなのだ。
六代目山口組(司忍組長)にとっての聖地である総本部(神戸市灘区)の主が不在になって、今夏で約2500日が経過した。
それがここにきて、「特定抗争指定」の解除を前提にしたと思われる傘下組織への伝達が相次いで発出されたことで、にわかに「総本部帰還」が現実味を帯びてきている。
不在の発端は分裂抗争の激化だった。六代目山口組の髙山清司若頭(当時)が出所する直前の19年10月10日、当時は神戸山口組(井上邦雄組長)の中核組織だった五代目山健組本部前で、三代目弘道会系幹部により山健組系組員2人が射殺される衝撃的な事件が発生。事態を重く見た兵庫県警が翌11日、暴対法に基づき、双方の本部や傘下事務所など県内11カ所に使用制限の仮命令を発出したのだ。
しかしそれでも六代目山口組の攻撃はやまず、使用制限の本命令を経て、神戸山口組の直参を自動小銃で射殺する事件が尼崎市で翌月に発生。その結果20年1月7日、兵庫県公安委員会が両者を改正暴対法に基づく「特定抗争指定」団体に指定し、神戸市、尼崎市、姫路市などを「警戒区域」に指定、区域内の組事務所が使用できなくなった。さらに、区域内では組員が5人以上集まることができなくなるなど、活動に厳しい制限が加えられた。山口組事情に詳しいジャーナリストが言う。
「22年には岡山の池田組(池田孝志組長)、24年には絆會(織田絆誠会長)との間でも特定抗争指定団体に指定され、警戒区域が拡大された。その間、六代目山口組は、区域外にあたる愛知県、静岡県などの傘下拠点で納会や執行部会、親戚友好団体との外交行事を行うようになっており、本拠である総本部には当局のガサ入れで鍵を開ける時以外、近づくことすらできない状況でした」
分裂以前、総本部では、月に1度の定例会(直系組長会)が開かれる一方、最高決定機関である執行部会のほか、1月25日に司組長の誕生会を兼ねた新年会が、全国から親戚友好団体のトップが参集して盛大に執り行われてきた。
山口組総本部が社会的により注目を集めたのは、六代目体制で近隣住民に開放された時のことだろう。年の瀬の12月末に敷地内の駐車場で行われる餅つき大会で、一時は近隣住民が自由に参加し、組員たちと餅をついた。また、10月のハロウィンでは仮装した子供たちが次々と訪れ、組員たちからお菓子を受け取っていた。地元関係者が言う。
「田岡三代目は、郷里の徳島から阿波踊りの踊り子を呼び寄せて、本家敷地内で住民と盆踊りを楽しんだほど、総本部の近隣住民に親しまれていました。ハロウィンも田岡三代目時代に始まりました。近所の外国人の子供が仮装して訪ねてきたそうです。まだ日本にハロウィンの風習が根づく前のことで、小遣いを渡して追い返そうとしたところ、お菓子をねだっているとわかり、翌年からお菓子を用意して待つようになりました。原点回帰を唱えた司組長は三代目時代と同じように近所付き合いをしようとしたのでしょう」
しかし、餅つきは市民懐柔と叩かれ、ハロウィンは兵庫県が20年に暴排条例を改正して、実質的にお菓子を配ることができないようにした。このように総本部は当局との攻防の原因にもなったが、こうした歴史も含めて、山口組にとっては聖地なのだろう。
25年4月、六代目山口組が約10年に及んだ分裂抗争を異例の形で終結させたのは、1日でも早く司組長を総本部に帰すことが命題の1つであったからだ。
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