社会
Posted on 2016年10月26日 05:55

50代フリーライター「タクシー運転手」副業は意外とウハウハだった!(2)チップ20万円も夢じゃない

2016年10月26日 05:55

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 タクシー運転手には2つのタイプがいる。駅や空港・ホテル・病院など人が集まるところに車を止めて遠距離を狙う「付け待ち」と、短距離でも都心部を中心にひたすら走行する「流し」だ。実は、効率よく稼ぐには、この両方を上手にミックスさせることが肝心。出庫は客が多くライバルが少ない早朝が狙い目で、空車時は交差点の左先頭で止まるのが鉄則。左折車に客を取られるため、なるべく右折しない、ウイークデーは皇居に向かって走る、腹が減ったらおにぎりを買って付け待ち中に食べ、人の移動が少なくなる午後3~5時に仮眠。終電までは住宅街と沿線駅との往復、終電後は繁華街中心に動きまくる、などとマイルールを決めた。

 ドライバー仲間には、ワンメーターの客を“ゴミ”などと言うヤカラもいるが、近距離客がいなかったら売り上げは激減する。どうせなら気持ちよく乗ってもらうのが肝心で、時にワンメーター客は「お釣りはいいですよ」となることも。

 ある時など、ワンメーターの客を降ろした場所に立っていた客が「羽田空港まで」。空港に着くとすかさず無線で自動配車が入り、チケット客を迎えに行くと、行き先は成田空港だった。

 他にも客の気分をよくさせる方法はゴマンとある。例えば深夜の長距離客がタバコを吸いたそうにしていたら「どうぞ!」とコーヒーの空き缶を差し出す。すると「ウソ! ありがたい。いいの?」と言ってプカプカ。そこで「お客さん、車内は禁煙です~」とドラレコに向かって注意を促すと客は大爆笑。もちろん窓は開けさせてもらうが、全車禁煙だけに、こうした対処は喜ばれる。

 新聞屋さんからもらったプロ野球のチケットを、東京ドームで乗せた野球好きの客に「この試合、よかったら行きます?」とあげた時など、メーター料金3000円のところ、5000円を置いていってくれた。

 大相撲9月場所の千秋楽、両国駅で男女4人組が乗ってきた。「世田谷の経堂まで」と言うその4人は「6000円ぐらいで行って」。つまりはダンピングだが、こういう時、あれこれ言わずに「任せといてください!」と元気に答え、とりあえず車を走らせること。なぜなら客は「気分しだい」だからだ。

 車内で大相撲話に花が咲き、子供の頃から相撲好きの私が、十両で頑張る安美錦の勝ち負けを訪ねてみた。すると客も安美錦ファンだったようで、車内が一気ににぎやかに。途中でコンビニに寄り、ビールを買った客たちは二次会開始。私もコーヒーをごちそうになり、乾杯に参加させてもらった。

 あまりに楽しい客なので「お客さん、高速代はサービスしますので乗っちゃいます?」と聞くと、「おお、乗って乗って!」の大合唱。そこで首都高の4号線に乗ると、代々木付近で性病科の看板を見つけた女性の「いけない看板見っけ!」というセリフが。それに乗っかるように「今、梅毒はやってるんですよね~」と話題を振ると、「俺はクラミジアもらった」と男性客。「ボクは非淋菌性尿道炎でした」と私が言えば、「それって、どんなふうになるの?」と女性客が食いつく。「ウミが出ます。私は医者に“常連さん”と呼ばれてます」と言うと、車内は爆笑の渦。そんなこんなで経堂に着くと、メーター料金7000円のところ、「楽しかったよ運転手さん! お釣りはいらないから御飯食べて!」と、1万円を置いてうれしそうに降りていった。

 こんな感じでチップを貯金してみると、1年間で20万円にもなっていた。

後藤豊(ライター)

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