社会

アサヒ芸能「スクープ大事件史」Vol.2(3)三文役者、従軍カメラマンが見た「戦場の外のベトナム」

2016_60th_f

 ベトナム戦争が激しさを加えると、アサヒ芸能は独自の切り口で現地報道を行った。その第1弾として、戦場カメラマンの草分けでピューリッツア賞を受賞した沢田教一氏は、連載「新日本・夜の五十三次」番外編に『ベトナムの“バカヌク娘”万歳!』を発表している。

 前述のアサヒ芸能1965年7月4日号のルポで沢田氏は、サイゴンのバーにたむろする戦場帰りのアメリカ兵の姿を描写している。

〈その若いGIは荒れていた。荒れ狂っていた。私が入った一軒のバーで、彼は昼間から飲んでいたらしい。が、私にはすぐわかった。彼は恐怖に脅えているのだ。酒も女も、彼の恐怖をまぎらわすことはできない〉

 タイトルの「バカヌク」とはベトナム語でソノことである。

「三文役者」を自称する俳優・殿山泰司氏もアサヒ芸能65年8月1日号から東南アジア寄稿を連載し、その第1回で『三文役者のサイゴン日記』を寄稿している。ベトナム戦争の真っ只中でも、タイちゃんの筆は戦場の外に向かう。

〈午后10時、フロントへ降りてビアでも飲むか。そうしましょう。ふたたび階段をアメリカとすれちがいながら降りる。アイシャドーのベトナム娘が上がってくる。慰安所だなココは〉

 殿山氏がアメリカ兵と与太話しているうちに、同行カメラマンがアメリカ人に胸倉をつかまれている。そして、力づくでカメラからフィルムを抜きとってしまった。

 ユーモラスな中にも、映画『裸の島』で世界的な評価を受けた名優らしい、鋭いまなざしが光っている名文だ。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
「京都崩壊」の信じがたい現実…外国人観光客専用都市に激変した「不気味な風景」
2
商品価値が落ちたヤクルト・村上宗隆「メジャー計画変更」で大谷翔平と同じ道を
3
土壌ラドン濃度・衛星観測・上空発光…火山噴火と大地震「前兆キャッチ」の新技術がスゴイ!
4
山尾志桜里の「公認取り消し」騒動を起こした玉木雄一郎は「榛葉幹事長人気に焦った」って!?
5
フジテレビ・山本賢太アナが行方不明に!? 「代役」登場と「謎のテロップ」