社会

伊集院静が教える男の人生流儀(3)父親に学んだ「倒れるな」の教え

伊集院 今そうしたことをキチンと教える人も、なかなかいないからね。やっぱり大人になったら、若い者に「それは違うから」ってキチンと言ってやらなきゃダメなんだよ。「若い者は聞きやしない」って思ってるから言わないんだけど、それでも言ってやらなきゃダメなんだよ。でもみんな、教えることが億劫なんだよ(笑)。

 それはもう言ったところで若い者は実際聞かないわけですよ(笑)。だけども聞かなくてもいいんだよ。若いヤツは昔から聞きやしないんだ。だけど「それでも言う」ってことが大事なんだよ。そのあと40歳くらいになって「アイツが言ってたこと合ってたな」、もしくは「間違いだったな」って思わせればいい。そのへんを間違えるんだよな、今の大人は。面倒だから何も言わない。

──とりわけ、伊集院さんは別れというのを、若いうちに知っておけと言われていますが‥‥。

伊集院 別れたことはいちばん身にしみますから。私が高校卒業して、明日は初めて生家を出て上京するって時、それまで5分以上父親とは話したことなかったけど初めて父親と長い時間話をしました。

 父親は「自分は韓国から渡ってきて、脱走したりとか、おふくろと出会って‥‥」ってこれまでの生い立ちの話をしてくれた。そして、話が一区切りするたびに父親が「こうやっても俺は倒れなかったんだ、お前も倒れるな」って言うんです。そして最後にこう言ったんだよ、「今夜が、俺とお前が生きて会える最後かもしれないってことは忘れるな」って。その時、私は父親が死んだら大学やめて帰らなくてはいけないんだなと考えたんです。

 それで翌朝、プラットホームで父親を見たら「行ってこい!」って感じで腕組んで。それで電車が動きだした瞬間、気づいたんだよね。「あのオヤジが死ぬわけがねえな」って(笑)。だから父親が言いたかったのは「お前も倒れるな!」って意味だったんだ。「東京に着いたら相当な覚悟で生きていかないとだめだぞ」ってことだったんです。

カテゴリー: 社会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
「京都崩壊」の信じがたい現実…外国人観光客専用都市に激変した「不気味な風景」
2
商品価値が落ちたヤクルト・村上宗隆「メジャー計画変更」で大谷翔平と同じ道を
3
山尾志桜里の「公認取り消し」騒動を起こした玉木雄一郎は「榛葉幹事長人気に焦った」って!?
4
土壌ラドン濃度・衛星観測・上空発光…火山噴火と大地震「前兆キャッチ」の新技術がスゴイ!
5
「絶対にやめろ」に大反発!トルシエ元日本代表監督が初めて明かした日本サッカー協会とのバトル