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記事全文を読む→「人類史上最悪の建物」着工から39年…北朝鮮「柳京ホテル」は一度も客が入らない「未完成の廃墟」
スペイン・バルセロナの「サグラダ・ファミリア」といえば、着工から140年以上を経てなお建設が続く「未完の大聖堂」として知られる。だが世界には、方向性がまるで違う「未完成の巨大建築」が存在する。北朝鮮の首都・平壌にそびえ立つ「柳京(リュギョン)ホテル」だ。
105階建て、高さ330メートル、客室数3000室。三角錐のようなピラミッド型のシルエットは、平壌市内のどこからでも目に入る。1987年、金日成主席の号令のもと着工したこのホテルは、北朝鮮が国家の威信をかけた一大プロジェクトだった。
前年に韓国企業がシンガポールに世界一高いホテルを建設し、ソウルでは1988年の五輪に向けた開発が加速していた。北朝鮮はそれに対抗する形で、世界最大のホテルを自国の首都に建てようとしたのだ。
当初は1989年の完成を目指していた。しかし建設は難航し、期限に間に合わないことが早々に判明。1992年にはビルの高さこそ計画通りに達したものの、ソビエト連邦の崩壊で最大の後ろ盾を失った北朝鮮は深刻な経済危機に陥り、建設は完全にストップした。以降およそ16年間、窓も外装もないコンクリートむき出しの巨体が、平壌の街を見下ろし続けることになった。
この異様な光景は、国際メディアの格好の標的となる。米誌「エスクァイア」は2008年に「人類史上最悪の建物」と評し、CNNは「世界で最も醜い建物」の第1位に選出。いつしか「滅びのホテル(Hotel of Doom)」「幽霊ホテル」という不名誉なあだ名が定着した。ギネス世界記録にも「世界で最も高い空きビル」として登録されている。
2008年、エジプトの通信大手オラスコム・グループの協力で工事が再開され、2011年までに外装のガラスパネルは完成した。だが、中身は全くの別問題だ。エレベーターのシャフトは曲がって使用不能、客室の内装にもほぼ手がつけられていない。
欧州の高級ホテルチェーン「ケンピンスキー」が2012年、一部開業を発表したが、わずか数カ月で撤退。2018年には外壁に巨大LEDスクリーンが設置され、毎晩プロパガンダ映像を映し出すようになったものの、ホテルとしての進展とは言いがたい。2024年にはカジノ運営権をチラつかせて外資を呼び込む構想が報じられたが、具体的な動きは見えていない。
専門家によれば、完成に必要な費用は約20億ドル。北朝鮮のGDPの約5%に相当し、現実的に調達できる見通しは立たない。劣悪な地盤の上に建てられた巨大なコンクリート構造物は、長年の放置によるひび割れや傾きが進行しており、そもそも建設続行が可能なのかが疑問視されている。着工から39年。この建物は一度も宿泊客を迎えていない。
サグラダ・ファミリアは未完成のまま世界遺産となり、人類の創造性を象徴する存在になった。一方の柳京ホテルは、未完成のまま「人類史上最悪の建物」に。その三角形のシルエットは、国家が見栄のために暴走した先に何が残るかを、無言で世界に示している。
(ケン高田)
アサ芸チョイス
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