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そうした中で、一方で田中は「人材育成の名手」でもあった。
かつて、田中が師として仰いだ吉田茂元総理が、「吉田学校」の中から、保守本流としての池田勇人、佐藤栄作、そして田中自身をも総理として輩出させたように、振り返れば田中はそれ以上の人材を政界第一線に送り出している。
その門下から、総理大臣がじつに7人も出ているのである。竹下登、細川護熙、羽田孜、橋本龍太郎、小渕恵三、麻生太郎、鳩山由紀夫である。また、小沢一郎、梶山静六、野中広務といった多士済々を、やはり門下から幹事長など第一線に送り出しているといった具合である。こうした「人を育てる」という部分でも、田中の“凄さ”を知ることができる。
田中のこうした驚異的と言っていいリーダーシップに対し、次のような二人の評価が残っている。
佐藤栄作元総理の側近、保利茂・元自民党幹事長。
「福田赳夫や大平正芳が束になっても、田中にはとてもかないやしない。政治力など、いろんな意味でだ。戦後政治最大のカリスマ」
作家・松本清張。
「田中角栄は現代史まれにみる梟雄(きょうゆう・たけだけしい人)である。政界にこんな『天才』があらわれるのは、50年に一度あるかなしかだろう。『金権政治』という単純パターンで、彼をさばききることはできない」
■田中角栄の略歴
大正7(1918)年5月4日、新潟県生まれ。二田(ふただ)尋常高等小学校卒業後、16歳で上京。復員後、田中土建工業設立。昭和47(1972)年7月内閣組織。総理就任時54歳。日中国交正常化を実現。「ロッキード事件」で逮捕。最高裁上告中の平成5(1993)年12月16日、死去。享年75。
総理大臣歴:第64~65代 1972年7月7日~1974年12月9日
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。
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