芸能

ビートたけしの名言集「大晦日の格闘技中継を見ながら話が飛び」

「今年の大晦日は、何かやんのか?」

 つい先日、楽屋入りした殿は、いつもどおりすぐさま鏡に向かい、電気カミソリでヒゲを剃り出すと、ものの1分程で終え(殿は髭がまったく濃くありません)、湿ったタオルで顔を拭いてさっぱりすると、こちらに顔を向けて、冒頭の質問をしてきたのです。

 で、殿が言う「何かやんのか?」の「何か」とは?「面白そうな格闘技の興行があんのか?」といった意味であり、この質問は毎年12月になるとほぼ必ずといっていいほど、殿が聞いてくる質問だったりします。

 そんな殿の問いに対し、「はい、まずはTBSで井岡一翔vs田中恒成の日本人対決があります。あと、フジで総合格闘技の『RIZIN』がありまして、去年の夏に負けた堀口恭司が朝倉海にリマッチします」と、ボクシングと、ややマニアックな総合格闘技の年末の大一番について報告すると「へ~、そりゃいいな! どっちもテレビで中継すんのか?」と、いたく食いつき、どちらも中継ありの旨を伝えると「じゃー、今年の大晦日は退屈しねーな! こりゃいいな!」と、実に無邪気に喜んだのです。

 そんな“年越しは放送されている格闘技を絶対に見る”殿と、15年程前の大晦日、若手数名とで殿邸にてお酒を頂きながら、一緒に総合格闘技の中継を見た夜がありました。

 この時、寝技が恐ろしく強く、毎回グラウンドに持ち込んでは寝技で一本を取る、あるブラジル出身の柔術選手の試合となり、みんなで「やっぱり打撃よりも実戦では寝技が有効なんだな」だの「もし路上でケンカになったら、つかんで倒して寝技で仕留めるのがベストだな」だのと、とどのつまり寝技が最強じゃないか的な話を、知ったふうな顔をして若手数名で話していると、殿はそんな会話を少しばかり黙って聞いたあと、おもむろに、

「町でケンカんなったら、拳銃持ってるヤツがいちばん強いだろ」

 と、さらっと「まー、それはそうでしょうが‥‥」としか言い返せない、身も蓋もない発言を放り込んできたのです。そして「やっぱり、拳銃持ってるヤクザがいちばん強いんだろ」と、にべもない意見で総括したのです。

 そんな殿の発言に若手が皆、うなずきながらも、なんとなく腑に落ちない顔をして押し黙っていると、

「昔よ、大学の空手部のヤツと浅草のヤクザが飲み屋でケンカになってよ、空手部のヤツがヤクザをけちょんけちょんにしちゃったんだよ。そしたら、その次の日にそのヤクザが空手部のヤツを探し出して『昨日は悪かった。手打ちで飲もう』って誘って、さんざん飲ませて連れ回したあと、空手部のヤツがベロベロになって立ちションしてるところを後ろからレンガで殴りつけて、ボコボコにしちゃったんだから」

 と、なんとも後味の悪い“復讐戦”を聞かされ、わたくしたち若手はその後、もう誰も格闘技の話をしなくなったのでした。

ビートたけしが責任編集長を務める有料ネットマガジン「お笑いKGB」好評配信中!

http://www.owarai-kgb.jp/

◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
2
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
3
「コーチに無断でフォーム改造⇒大失敗」2軍のドン底に沈んだ阪神・湯浅京己のボコボコ地獄
4
フジテレビ・井上清華アナ「治らない顎関節症」と「致死量ストレス」の不穏な関係
5
【大騒動】楽天・田中将大が投げられない!術後「容体不良説」も出た「斎藤佑樹との立場逆転」