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記事全文を読む→テリー伊藤対談「鉄拳」(2)芸人を辞める日まで決まっていたのだが…
テリー 奥様とはどこで知り合ったの?
鉄拳 お笑いライブに来てたファンなんです。
テリー ということは、メイク顔を好きになったの?
鉄拳 出待ちをしていたので、素顔は知られてました。ライブの時はそんなに人気がなかったんです。アンケートだと「気持ち悪い」とか「見た目が引く」、「生理的に受け付けない」とか書かれている中で彼女が来てくれたので、僕にとっては天使みたいな存在でした。
テリー そうか。つきあってるうちに人気が出て、結婚しようと。
鉄拳 はい。僕はまず彼女を笑わせようという感じでネタを書いて、最初に彼女に見せていたんですよ。で、彼女が笑ったネタだけをやるという感じで。
テリー なるほど。それは関根勤さんと一緒だ。関根さんは仕事がなかった頃、自分の子供を笑わせられなかったらコメディアンじゃないということで、関根麻里さんを笑わすことをずっとやってたんです。
鉄拳 ハハハハ、ほぼ同じですね。売れたあとは、自分で会社を立ち上げたんです。そのあたりから仕事も選ぶようになっちゃって。
テリー どんなのを断ったの?
鉄拳 まず、素顔を出すものは断ってました。あとはネタをいろんなところでやるとすぐ飽きられるだろうと思って、いわゆるネタ番組には出なかったんです。
テリー ああ、「エンタの神様」(日本テレビ系)とか「爆笑問題のバク天!」(TBS系)とか。そうすると?
鉄拳 やっぱり仕事が徐々に減っていきました。芸人は毎年出てくるので、新鮮味がなくなったんでしょうね。トークのうまい人がテレビに残っていって、僕みたいにしゃべり下手なやつはネタ番組しか出るところがないんですけど、ネタ番組自体もどんどんなくなっていって。
テリー 危機感はあった?
鉄拳 少しありました。僕はマネジャーを2人雇っていたので、給料が払えなくなってきていたんです。でもそこで分岐点があって、僕のマネジャーがエアギターの大会に出たんですよ。
テリー 本当に弾けるわけでもないのに、ギター持たないでギターを弾く振りをする芸ね。おもしろいよね、あれ。
鉄拳 そこで彼が2位になったんです。それでマネジャーみずからが、マネジャー自身の営業に出るようになっちゃったんです。
テリー アハハハ。
鉄拳 僕の営業担当がいなくなって、よけいに自分の仕事が減ってきたので、2人で相談して、彼はエアギター芸で頑張る、僕は違う事務所に行って頑張るということで、吉本に入ったんです。
テリー そうだったんだ。
鉄拳 嫁には「吉本で3年やって、もし芽が出なかったら辞める」って言ってました。
テリー 辞めて何しようと思ったの?
鉄拳 実家に帰ろうと思っていました。地元の友達が「求人誌系冊子のイラストの仕事があるからやらないか」と誘ってくれて、それもいいかなと思って。
テリー でもさ、テレビのレギュラーがあったのなら、そんなに焦らなくてよかったんじゃないの?
鉄拳 それでも長い目で見ると、どんどん新人が出てくるし、吉本は天才が多いので、このままずっとはいられないんだろうなと。
テリー ジリ貧になっていくと思ったんだ。
鉄拳 そうですね。これで50歳になってからクビになったら、よけい仕事がないだろうなと思って。辞めるんだったら今だなと思いましたね。
テリー 奥さんはそれに対して何て言ったの?
鉄拳 それでいいって。で、3年目に結果が出なかったんですね。それでマネジャーに「すみません、もう芸人は諦めます」と伝えて、辞める日まで決まっていたんです。その最終日までの間に、パラパラ漫画の仕事が来たんです。
テリー この世界から身を引く直前で、パラパラの仕事が来たんだ!
鉄拳 芸人にカラオケの映像を作ってもらうという企画で、じゃあ、鉄拳はパラパラ漫画で、という感じで依頼が来たんですね。
テリー それまでパラパラを描いたことは?
鉄拳 ありませんでした。教科書の端っこに、落書きするくらいで。
テリー そのあと、どうなったんですか。
鉄拳 映像を発表したら、それを見た別の番組のスタッフが「うちで『誰がいちばんパラパラ漫画がうまいか』という企画をやるから出ないか」と言われて、そこに出たら優勝したんです。そしてそこから立て続けに、うちでもやってくれないかと依頼が入って、今日まで続けてきました。
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