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記事全文を読む→東京都「首都直下地震等被害想定」の大ウソを暴く〈番外編〉虎の子の資産にもたらすリスク(4)マンションが「粗大ゴミ」と化す時
倒壊や崩壊という最悪の事態に至らなかったとしても、マンションが大地震による大きな揺れを受け、構造体部分が補修不能な損傷を被った場合には、そのまま住み続けることは不可能となり、取り壊しや建て替えが必要になってくる。
最もポピュラーな鉄筋コンクリート造のマンションで言えば、柱や梁、耐力壁などが構造体部分に該当する。そして、大きな揺れによって柱の鉄筋が座屈したり、柱や梁や耐力壁に大きなひび割れが生じたりした場合には、補修はほぼ不可能となるのだ。
このような被害状況はいわゆる「大破」「中破」に該当するが、現実的にはマンションが「粗大ゴミ」と化すことを意味している。そしてこの時、真っ先に問題となるのが、取り壊しや建て替えのための費用負担である。
分譲マンションをキャッシュでポンと買えるような富裕層は別として、圧倒的多数のサラリーマン世帯は、ローンを組んでマンションを購入している。しかもその多くが、いわばカツカツの家計状況で、毎月のローン支払いを余儀なくされているのだ。
言うまでもなく、マンションの取り壊しと建て替えには、購入時と同等か、それ以上のカネがかかる。したがって、大部分のローンが残っている場合は新たなローンを組む余裕はなく、住む場所を失ったまま負債だけが残る、という悲惨な状況に陥ることになる。
しかも、マンションの取り壊しと建て替えには所有者の5分の4以上の賛成と議決が必要になることが、区分所有法なる法律で定められている。つまり、仮に費用を工面できたとしても、規定の賛成が得られなければ、手も足も出せないのだ。
法務省(法制審議会)では今、建て替え決議の要件を5分の4から3分の2に緩和する議論が進められているが、仮に3分の2へと引き下げられたところで、ハードルは依然として高い。最も深刻なカネの問題が、置き去りにされているからだ。
このように、大地震は一瞬にして人生設計を破壊する。サラリーマン諸氏はこの点を肝に銘じた上で、今からでき得る限りの備えを進めておくことだ。
(森省歩)
ジャーナリスト、ノンフィクション作家。1961年、北海道生まれ。慶應義塾大学文学部卒。出版社勤務後、1992年に独立。月刊誌や週刊誌を中心に政治、経済、社会など幅広いテーマで記事を発表しているが、2012年の大腸ガン手術後は、医療記事も精力的に手がけている。著書は「田中角栄に消えた闇ガネ」(講談社)、「鳩山由紀夫と鳩山家四代」(中公新書ラクレ)、「ドキュメント自殺」(KKベストセラーズ)など。
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