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選抜高校野球で報徳学園が優勝を逃した「運命の分かれ目」を甲子園出場元監督がズバリ指摘

 第95回選抜高校野球は4月1日、6度目出場の山梨学院と22回出場の古豪、報徳学園による決勝戦が行われた。記念大会のために試合数が増え、6試合目だった山梨学院はこの日も、全試合で先発登板の林健吾投手で必勝を期した。一方、2年生の3本柱を擁する報徳学園は、間木歩投手をマウンドに送り出した。

 試合は4回表の報徳の攻撃で、山梨学院の林が投球動作終了時にマウンドに足を取られてボールを投げられず、これがボークと判定されるなどして、2点を失ってしまう。

 5回裏に報徳が連打を浴びた時が、勝負の分かれ目だった。山梨学院の打者のタイミングが報徳学園の投手に合う打席が続いたにもかかわらず、ベンチは動かず、捕手もマウンドに行かなかった。そして一死二、三塁でヒットを打たれ、同点にされる。

「なぜタイムを取ってやらないのか、不思議でした。捕手も内野手も投手のところへ行ってひと息入れるのがパターンなのですが、どういうわけか、動かなかった。報徳のような強豪校にとっては当たり前のことだと思っていましたが…」

 甲子園で複数回、指揮を執ったことがある元監督が首を傾げる。ここで山梨学院打線に火がついて5連打を食らい、そこに本塁打も加わって、この回7失点。ビッグイニングとなってしまったのである。

「少なくとも同点に追いつかれた時に代えていれば、あそこまで傷が大きくなることはなかったと思います。残酷な言い方ですが、これは監督の采配ミスだとしか…」(前出・元監督)

 試合後に報徳学園の捕手・堀柊那主将は、

「配球がいちばん大きい。自分のミスです。なんで打たれたのか、気付くのが遅かった」

 と、敗因を語っている。

 18年から山梨学院の臨時コーチを務めていたのは、元横浜高校部長の小倉清一郎氏だった。小倉氏が相手チームの分析に能力に長けているのは有名であり、相手投手のクセを徹底的に分析し、戦術にも目を配る。松坂大輔を発掘、指導して基礎を作ったのは小倉氏であり、渡辺元智監督とのコンビは、相手チームから大いに恐れられたものである。高校野球を取材するスポーツライターが言う。

「このコンビで激戦区の神奈川県から甲子園出場15回、そのうち優勝3回、準優勝1回の記録を残しているわけですが、山梨学院の初優勝によって、小倉さんの勲章がまたひとつ増えたことになりますね」

 もし小倉氏が報徳学園の立場であれば、あの場面で投手交代していただろう。野球は流れのスポーツでもあり、決戦の分かれ目に動けなかった報徳学園は、負けるべくして負けたといえるのかもしれない。

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