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記事全文を読む→掛布雅之 二刀流が成立した大谷翔平(2)
打ったり、投げたりすることも同じことが言えます。指導者になった人たちはその違いを見て、感じて、教えないといけません。技術の押しつけだけでは失敗します。体の専門家であるトレーニングコーチとも意見交換しながら、その選手に合った指導をする必要があるのです。
大谷の成功についてもう少し掘り下げて考えてみると、二刀流が投打両面にプラスになったと言えます。野手としてのトレーニングが自然とバランスのいい体作りにつながったのではないでしょうか。投手だけだと、どうしても投げることがメインになり、肩、肘を壊していた可能性もあります。彼の場合は左打者で体の回転の方向が投げる時とは逆になるので、さらにバランスを整えるうえではよかったはずです。
メンタル面でも相乗効果があったに違いありません。自分が実際にマウンドから投げることで、打者に対する理解が深まります。どうしたら抑えられるのか、打たれるのか、それを打席の中で置き換えればいいのです。配球面での読みなど、同じ高卒2年目の野手と比べると、大きな差が出て当然です。
また、大谷に関してはパ・リーグの宝として認識されたことも大きいでしょう。今季、ここまで死球は「0」です。オリックス時代のイチローと同じように、厳しい内角攻めは遠慮してしまう部分があるのです。これも大谷が実力を認めさせて、勝ち取った「環境」と言えます。
将来の課題は二刀流をどう熟成させていくかです。確かに二刀流の数字としてはプロ野球でトップに立ちましたが、はたして投げるだけ、打つだけでの数字を見るとどうか。高卒2年目での10勝も10本塁打も立派な数字ですが、単独だけなら他にもいるのです。今後、どちらか一本にしぼっても間違いなく一流の数字は残すでしょうが、オンリーワンの存在になれるかというと、また違う話です。868本塁打の王さんや400勝の金田さんなど、プロ野球の歴史を塗り替えるには、とんでもない数字が立ちはだかっているのです。
また、メジャーに挑戦した場合には、どちらか1本にしぼらざるをえないでしょう。二刀流としての現在のスケジュールを見ると、中6日で登板する場合、登板翌日と登板前日、2日前は投手としての調整を優先しており、野手として出場できるのは1週間で3日だけ。先発投手を中4日で回すメジャーでは、日本のようなスケジュールは組めなくなります。
投手と野手のどちらを選択するか。個人的な意見としては、打撃も捨てがたい魅力がありますが、投手として世界一を目指すべきでしょう。パワーの面で考えると世界一の打者にはなれなくても、投手としてはダルビッシュ以上の衝撃を与える可能性があります。
弱冠20歳。ファンに夢を抱かせる選手です。
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