ドジャース・大谷翔平が投手復帰2戦目となる先発マウンドに上がった。1回18球を投げ、無安打無失点。結果だけ見れば、2安打1失点だった前回登板よりも、明らかにいい。しかし注目すべきは「1番DH兼先発投手」で出場した際の打者成績だ。
復帰2戦目のナショナルズ戦(6月22日、現地時間)、チームは敗れたが、打者・大谷は4打数2安打1四球と活躍。復帰初戦のパドレス戦でも、2安打を放っている。
この復帰マウンドについて、新たな情報が飛び込んできた。当初、ドジャース首脳陣は試合前にライブBP(実戦形式の投球練習)を繰り返した後、シムゲームを行う予定でいた。シムゲームはライブBPよりもさらに実戦的要素を強めたもので、例えば走者を置いて、捕手が内野手に守備サインを出して投球させる。そのシムゲームを吹っ飛ばし、投手・大谷はぶっつけ本番で復帰したわけだ。
ドジャース首脳陣がぶっつけ本番を決めたのには、ワケがあった。
大谷が3度目のライブBPを行ったのは6月10日。これが最後のライブBPとなった。この日、大谷はいったんクールダウンして打者出場したが、4打数1安打。2打席目以降は打ち損じ、バットの振りが鈍くなっていた。いったん休憩して試合に臨む形式では、大谷はモチベーションを維持できなくなるようだ。
その後、チームの医療班が血圧などを計り、ライブBPを行った日の打者成績がイマイチな理由を調査。その結果、疲労が原因ではなく、二つのことを同時にやらせた方がパフォーマンスが上がる「不思議な体質」だと分かったのだ。
その報告を受けて「だったらシムゲームなんかやらせないで、実戦で」とドジャース首脳陣は判断したそうである。
タイラー・グラスノー、ブレイク・スネル、佐々木朗希といった先発投手が故障離脱したことも、投手復帰が早まった一因だろう。まだ長いイニングは投げられないが、大谷は選ばれた特別な選手であることが、改めて明らかになった。
(飯山満/スポーツライター)