芸能

立川志らく M-1の審査基準は「最後は自分の好み」/テリー伊藤対談(4)

テリー 「M-1グランプリ」の審査員を長くやってらっしゃった。

志らく 私は漫才師ではないので、M―1の審査員にいるのは異様な光景かもしれませんけども。あれ、漫才チャンピオンを選んでるように見えて、実は次のテレビスターを選んでるじゃないですか。

テリー 次の人気者をね。

志らく となってくると、そこに落語家がいたり、山田邦子さんがいるのは別におかしくないのかなと、そういうふうに思ってます。

テリー 審査は何を基準にされてるんですか。

志らく 漫才のテクニック云々ではなく、スター性ですよね。で、最後は自分の好み。あんなもの、好み外してテクニックなんかで選べないんで、「こいつら、いちばん自分の感覚に合うな」と。決勝の時は、スター性とか、どれだけその場にいるお客を沸かせられるか、それでいちばんいいコンビを選ぶ。今まで5年間やって、決勝で選んだコンビは全部優勝してますね。

テリー テレビで落語のM-1みたいのってできないんですか。

志らく 落語はテレビには不向きな芸能ですよね。

テリー そうすると、やっぱり「笑点」みたいなものになっちゃう?

志らく テレビの場合は瞬発力がないと。でも「IPPONグランプリ」みたいなのが出てきちゃうと、「笑点」は太刀打ちできなくなってくる。

テリー なるほどなぁ。師匠はこれから、どんな落語家になってい‥‥。

志らく それこそ成り行きではないですけれども。(笑福亭)鶴瓶師匠と私が実験台というか、うまい具合にモデルケースだと思うんです。

テリー モデルケース?

志らく 鶴瓶師匠は若い頃、落語を何にもやらなくて、テレビで売れた。で、年取ってから落語を始めた。果たして鶴瓶師匠は名人になるのか、ならないのか。これから5年、10年で結果がたぶん出る。談志、志ん朝、円楽、小朝師匠もそうですけど、若い頃にテレビに出まくった。年取ったら、テレビと距離を置いて落語だけやって名人になっていった。逆に私の場合は若い頃はずっと基本落語をやってきて、50過ぎてからテレビに出始めた。

テリー ああ、そういうことか。

志らく だから今まで例がないんですよ。それが、あと10年ぐらいで結果が出た時に、「志らくもテレビなんか出ずに、ずっと落語だけやってたら名人になったのに」って言われるのか。「あそこでテレビの世界に飛び込んだから、こんな名人になったんだ」って言われるのか。他にいないんですね、50過ぎていきなりテレビの世界に入っていった落語家って。その実験台みたいな。それが自分でも楽しみですね。

テリー 志らく師匠は映画が大好きじゃないですか。「師匠」は映画にしないんですか。

志らく 私1人の力ではどうにもなりませんけども、私は映画にしたいですね。

テリー ねぇ。そうするとこれ、談志さんは誰がやるんですか。

志らく 私がやります。私が談志の真似して高座に上がってってしゃべると、あの高田(文夫)先生が「談志師匠がそこにいて‥‥」って驚くぐらいの憑依芸を持ってるので。

テリー 談春さんの「赤めだか」がドラマ化された時はたけしさんがやってましたよね。

志らく たけしさんはたけしさんの談志でいいんですよ。だけどやっぱり私の他にできる人はいないと思いますね。

◆テリーからひと言

 今時はNetflixなんかもあるし、ほんとに映像化できそうだよね。その時は談志さん役もいいけど、やっぱり監督をやってください。

ゲスト:立川志らく(たてかわ・しらく)1963年、東京都生まれ。大学4年時に立川談志に入門。二つ目時代から兄弟子の「談春」と「立川ボーイズ」として活動し、深夜番組に出演するなど注目を集める。1995年、真打昇進。映画と古典落語を合体させた「シネマ落語」の創作、映画・演劇の作・演出・監督を務めるなど多方面で活躍。2016年10月より「ひるおび」(TBS系)にコメンテーターとして出演し、2017年上半期のブレイクタレント部門1位に。最新著書「師匠」(集英社)発売中。

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