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Posted on 2024年02月10日 05:59

因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

2024年02月10日 05:59

 藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残した「タイトル戦19連覇」の記録を塗り替える、タイトル戦20連覇の新記録を樹立している。

 終局後の会見で藤井八冠は大山十五世名人について、次のように語った。

「世代的には離れていて、伝説上の方というイメージがある。奨励会時代は大山先生の棋譜を並べていたことがあった。主に相居飛車の将棋だったが、当時から先進的な将棋を指されていた。棋譜を並べたことは勉強になった」

 ちなみに相居飛車は今回の挑戦者だった菅井竜也八段得意の戦法で、奨励会時代の切磋琢磨がタイトル20連覇の礎になっていることが伺える。

 藤井八冠が記録を破った大山十五世名人の、いい人物評は聞かない。今でいうパワハラで若手棋士を潰してきた御仁だ。

 特に虐められたのが、藤井八冠に記録を破られるまで、最年少の14歳7カ月で棋士になった天才少年「ひふみん」こと加藤一二三氏。加藤氏本人は「かわいがってもらった」と言うにとどめているが、すでに勝敗がついている対局で大山十五世は少年相手に盤上で執拗にいたぶり、以降、加藤氏は大山十五世だけには勝てなくなってしまった。

 日本将棋連盟会長の羽生善治永世七冠も高校生棋士の頃、「王将戦」をめぐって大山十五世名人からパワハラを受けている。1988年の王将戦予選で両者は対局することになったのだが、大山十五世名人が「対局を2日制とし、1日目を都内の将棋会館で指し、2日目は青森での公開対局にする」と言い出した。

 現在の王将戦を例に挙げると、一次・二次予選の持ち時間が3時間、挑戦者決定リーグが4時間、王将戦七番勝負のみ2日制の8時間なので、この大山十五世名人の申し出がいかに異様なのかがわかる。

 主催者の毎日新聞社は、この申し出に応じた。羽生会長は5月21日に都内の将棋会館、22日に青森で行われた対局を落とし、翌23日に帰京して5月24日に竜王戦4組の決勝トーナメントに出場するという過密スケジュールを余儀なくされた。

 十五世名人の言いなりで羽生会長を振り回した、毎日新聞社の当時の対応には疑問が残る。将棋タイトル戦を主催する新聞社各社が書けない黒歴史なのだが、今回、その因縁の「王将戦」で藤井聡太八冠は、大山十五世名人が棋譜を汚して打ち立てた19連勝の記録を塗り替えた、というのが実にスッキリして清々しい。

 令和の将棋が子供からマダムにまで愛されているのは、見ていて面白いという理由だけではない。昭和の陰湿な将棋と違い、年長の棋士たちが藤井聡太八冠や伊藤匠七段ら若獅子に真っ向真剣勝負を繰り広げているからだ。

(那須優子)

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