スポーツ

日本唯一!バンク内側から観戦できる斬新さ/日本全国「旅打ち」行脚~いわき平競輪(上)

 4月半ばに福島競馬場に出かけたばかりだが、再び北上し、5月2日は福島・いわき平競輪場へと向かった。通称「ダービー」と呼ぶ競輪の最高峰GI、日本選手権競輪の3日目。今回は場内でトークショーをやる仕事絡みである。夕刊紙(日刊ゲンダイ)の企画で、YouTuber2人と場内でレースの予想会をやることになっていた。

 YouTuberは元吉本芸人で「おしゃすパーク」のおしゃすと、元グラドルで「みくのチャンネル」の立川みくの。おしゃすはちょんまげ、相撲取り並みのムチムチ体型だ。みくのはIカップのボヨヨ~ン。時折、みくのが露出過剰の胸に話しかけているのが、なんともシュールだ。

 それから、競輪歴(45年)だけは長いオッサン(師匠と呼ばれている)。このトリオはかなり異形で、ユニークではないだろうか。これまで3人でGⅢ・和歌山記念競輪の配信を何回かやっているが、トークショーは初めてだ。ちょっと緊張する。

 そしてこのトリオの営業担当は、長身のイワオ君。ますますデコボコで、怪しい。みちのく珍道中という以外に、言葉が見当たらない。

 朝9時前の特急ひたち号に乗り、東京駅からいわき駅までは片道2時間30分ほど。電車に乗り込むと、YouTuber2人には簡単な資料のようなものを手渡した。おしゃすは前日から車券を買い、しっかり予習してきたらしい。みくのは前夜眠れず、ボーッとしているようだ。車内でイワオ君とあれこれ打ち合わせをしていたら、いわき駅にはアッという間に到着した。

 競輪場に着いたのは昼12時前。控え室に案内されて、トークショーの出番を待つ。

 いわき平競輪場は全国43場の中で最も近代化された、斬新な建物だ。バンクが硬い何本ものコンクリートに乗っかった構造体になっている。バンクの周囲を歩くことができる全方位の造りで、ホームスタンド1階からバンクにつながる下の通路を歩くと、バンクの内側に行けるし、内側からも見ることができる。レースをバンクの外側だけでなく、内側からも観戦できるのはここだけだ。スタンドも近未来構造の全面ガラス張り。愛称は「空中バンク」だ。まさに言い得て妙である。

 バンクの2センター外には大きなスクリーンが設置され、内側に特設ステージ「サイクルコロシアム」がある。我々がトークショーをやるのがここ。ステージ前にはパイプ椅子が整然と並べられていた。

 仕事の前の腹ごしらえは、いわき平の場合、1階フードコートの「モンゴル塩ラーメン」と決めている。一人で行ってみると、残念なことに、なぜかメニューにはなかった。今回は用意してくれたお弁当にしよう。おしゃす、みくの、イワオ君と一緒にもぐもぐタイム。

「師匠、今日はどんな感じになりますか」

 とおしゃすが尋ねる。

「とにかく荒れているからね。昨日(2日目)なんか10万円車券が3本も出ている。こんなに荒れるダービーは初めてじゃないかな」

「今日も荒れますかね」

「そこなんだよ、昨日は荒れたから、今日は少し落ち着くんじゃないか」

 しかし、1Rが3連単8万円台、4Rも4万円台と荒れ気味だ。車券を買い始めた5Rは1014円で、流れが変わりそうだが…。

 みくのが大きな胸を揺らしながら「師匠!」とやってきた。

「7Rは③と⑨から買いたいですけど。ちょっと買い目を見てください」

「なかなかいいスジしてる。学習したね。③山口拳矢は去年のダービー王。2日目の特選は6着だけど、今日は頭も狙えるメンバー。今回から自転車を変えて調整しているのが、いい方向に出るかどうかだね」

 そんな会話をするうち、6Rの締め切りが迫っていた。トークショーは7Rと8Rの発売中に行われる。我々は6Rの発売が締め切られる前にバンク内に移動するので、7Rと8Rのリアル車券はその前に買っておく必要がある。6Rも買うから、実際は3レース分まとめてだ。

 そこで競輪場に入るまでにチェックした買い目を急ぎマークシートに記入して、買いに走った。実はこの時点で、マークシートの書き込みミスには気が付かず。これが痛恨の極みとなった。

 6Rはステージ横のテントから観戦。単騎の選手が直線で強襲して1着だった。3連単は14万9250円だ。

「師匠、また10万車券ですよ。荒れますね」

 おしゃすが言う。

 上空は雲ひとつない競輪日和。6Rの勝利者インタビューが終わると、デコボコトリオはステージへと向かった。

(峯田淳/コラムニスト)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身
4
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
5
前世の記憶を持つ少年「僕は神風特攻隊員だった」検証番組に抱いた違和感