社会
Posted on 2024年08月12日 17:59

「元祖ねずみ講」の誘い文句は「心と和の助け合い精神」/こうしてハマッた!「悪徳商法」事件史

2024年08月12日 17:59

 典型的な悪徳商法に「無限連鎖講(ねずみ講)」がある。その元祖として知られるのは、実業家の内村健一氏が主宰する「天下一家の会・第一相互経済研究所」だった。

 日本では元来、お伊勢参りの費用を積み立てる「お伊勢講」など、仲間同士が目的のために金を貯める「講」というものがあり、「無人講」などはその名残だ。

 内村氏は元保険セールスマンだが、生保のシステムを批判。そこに「講」をプラスしたシステムを作り上げた。それが1967年に内村氏が地元熊本で設立した「天下一家の会」だったのである。

 システムは極めてシンプル。「会員」と称する出資者を募り、その会員が自分の下に2人、10人、50人とねずみ算式に会員を増やせば、その利ザヤが自分の懐に入ってくるというものだ。勧誘文句は「新しい会員を入会させればさせるほど、配当が上がる」。

 このシステムが、日本の高度経済成長時代にピタリとハマッた。瞬く間に全国に広がった会員は全盛期に120万人、集めた金はなんと1900億円を超えたというのだから、驚くばかりだ。

 1972年、内村氏が所得税法違反容疑で逮捕されても会員が増え続けていたというのだから、改めて人間の欲深さを痛感する。法曹関係者が当時を振り返ってこう語る。

「内村氏の謳い文句は『天下一家の会は単なる金儲けではなく、心と和の助け合い精神に基づいているんだ』。さながら新興宗教の教祖的な存在だった。そして当時の法律では、ねずみ講そのものを裁くことができなかった。それが内村氏が逮捕されてもなお、会員が増え続けた理由だと考えられます」

 だが当然ながら、システムはやがて破綻する。内村氏の逮捕後、詐欺的商法がマスコミで連日のように報じられ、社会問題になると、各地で訴訟が勃発。1978年には無限連鎖講防止法が作られ、天下一家の会は解散した。法曹関係者が続ける。

「当時、内村氏の資産は300億円は下らないだろうと言われていましたが、破産宣告直前に系列法人への資産隠しを行い、最高裁により脱税の罪で7億円の罰金が科せられました。ところが2億円しか払えず、収監(途中で持病の悪化で入院措置)されることになりました」

 内村氏は1995年、糖尿病によりこの世を去った。だがその後もねずみ講的行為は残党らにより手を変え品を変え、繰り返し続けられた。人間から欲望がなくならない限り、悪徳商法は消滅しないとされるが…。

(丑嶋一平)

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    女子アナ
    2026年04月04日 18:00

    この春も、フレッシュな美女アナ1年生たちが各局に入社。振り返れば、のちにエースとして君臨したレジェンドたちにも若葉の頃はあった。しかし、彼女らは初々しさもそこそこに、スタートから段違いの未来を嘱望された「破格の新人」だった。かつて&ldqu...

    記事全文を読む→
    スポーツ
    2026年04月02日 11:30

    プロ野球の世界では毎年のように「オフの戦力外通告」が大きなニュースになるが、まさかアナウンサーにまでその波が押し寄せるとは、当の本人も思わなかっただろう。日本ハムが今季、本拠地エスコンフィールドでのホーム戦ヒーローインタビューを、各局アナウ...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年04月03日 07:30

    「『母に捧げるバラード』でやっと、どこの会場に行っても1000人ぐらいお客さんが集まる人気を獲得したんですよ。紅白歌合戦に出て、これで一説によれば、10年食えるって。それが翌年からローカル歩き出したら、みるみるお客さんが引いているの」これは...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/4/7発売
    ■550円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク