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記事全文を読む→ホントーク〈朝井リョウ×綿矢りさ〉(3)パズルのように構築して書く!
綿矢 本作を読むと、朝井さんは察する力にすごく長けていて、その上で深く考えていると感じました。ですからこの小説は「地下にすごく大きなマンションが建っている」ような感じを受けました。
朝井 えっ、初めて聞く表現! でもぴったりかも。
綿矢 「これがテーマなのかな?」と軽い気持ちで読んでいたら、さらにその下が掘ってあって「階が下に続いている!」みたいな感じでした。この予想もつかないほど深掘りしていく構築力は、読んでいてすごくおもしろかったです。
朝井 うわー、手前味噌ですが確かに今作はそういうマンションっぽいかも。今回主要な登場人物の動きが本当に少なくて、表出している物語はほとんどないに等しいんですけど、本自体が持つカロリーは高いのではと自負しております。自画自賛しちゃいましたが。
綿矢 緻密に書かれているので、誰かにかいつまんで伝えたり、あらすじを説明したりするのは、とてもできないと思いました。
朝井 私は遊びの部分を作るのが下手くそで、ジグソーパズルのように、このピースがここだからこっちのピースはここしかない、みたいな書き方をしてしまうんです。筋道を立てすぎるというか。だから映像化にあたって再構築、みたいな時は、いっそまったく別物にしてもらったほうがお互いに楽なくらいです。
綿矢 その構築力はうらやましいです。
朝井 コンプレックスなんですよ。昔、ある人から「朝井さんの小説は必要なことしか書かれていない。必要ないシーンがあってもいいんだよ」と言われたことが今も忘れられません。
綿矢 朝井さんは小説の時系列をパソコンでちゃんと作っているんですよね。すごいと思います。
朝井 そういうことをしてしまうところが、自分では嫌なんですよねえ〜。
綿矢 どうしてですか?全7回ぐらいの講習で私に教えてほしいくらいです(笑)。
朝井 7回は多い(笑)。
綿矢 では、オンライン講座2時間でお願いします。もちろん受講料はお支払いしますので。
朝井 そんなことをしたら綿矢さんの小説のよさが台なしになる! 主人公の声を聞くようにして書いていくという、綿矢さん的な書き方を私もやってみたいんです。なので、それを私に教えていただくということで、お互い無料で。
綿矢 それはいいですね。そうしましょう(笑)。今日はいろいろなお話を伺って、アルファ波が出たというか、海のようなふんわり深いところに行けるような感じがしました。何かセラピーを受けたようで、今回の作品の雰囲気と合っていたと思います。とても贅沢な機会をいただき、ありがとうございました。
朝井 内容を伏せている本でして、ふわふわした部分しか誌面に使えなくてごめんなさい。こちらこそありがとうございました!
ゲスト:朝井リョウ(あさい・りょう)1989年、岐阜県生まれ。09年「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。13年「何者」で直木賞、「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞、21年「正欲」で柴田錬三郎賞を受賞。
聞き手:綿矢りさ(わたや・りさ)1984 年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。01年「インストール」で文藝賞を受賞しデビュー。04年「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞。12年「かわいそうだね?」で大江健三郎賞、19年「生のみ生のままで」で島清恋愛文学賞を受賞。
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