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記事全文を読む→ホントーク〈吉本ばなな×綿矢りさ〉(3)最悪な1日でもいい時間はある
綿矢 人生の流れを待っている時は、どうすればよいと思いますか?
吉本 成り行きというか「自分の近くにあるものに自然に頼る」という考えを持つと、楽になると思います。例えば何か物を取りたい時に、その近くに誰かがいたら「ちょっと取って」と言う。そうすると、自分のパワーを100%出さなくていいじゃないですか。
綿矢 確かにその方が楽かもしれません。私は自分の意思でコントロールしないと不安というか、天命に任せてしまうと、もっと悪くなるんじゃないかと思って、あがいてしまう時があります。
吉本 調子が悪い時は誰でも自分で何とかしなければ、と考える人は多いと思うから、綿矢さんの気持ちはわかります。
綿矢 デーンと構えて、流れを待つ姿勢が大事なんですね。
吉本 そうそう。「今、私は落ち込んでいるんだから、こうしなければいけない」みたいに突き詰めて考えていても、「お腹が減ったな」とか「天気がいいなぁ。10分ぐらい外に出ようかな」と思う時があるでしょ。おいしさを感じたり、外に出たりすることが、自分を緩めるきっかけにできると思います。
綿矢 「最悪な日でも、いい時間はちゃんとある」と書かれていたのが印象に残っています。人生、悪いことばかり連続してるわけじゃないと、気づかせてもらえました。
吉本 そう、いい時間は絶対にあります。
綿矢 この本はどんな人が読んでも、とても有意義に感じると思いますが、特にどういう状況の人が読むのがオススメですか。
吉本 年齢を問わず「何かがおかしいと思うけど、そう思ってしまう自分の方がおかしいのかな?」って感じているような人です。読んでみて「あ、私、そんなにおかしくない」って思えるような本であってほしいなと思います。
綿矢 私はすごい挫折をした人が救われるんじゃないかなって思いました。
吉本 そういう人にも読んでもらいたいですね。
綿矢 まさに幸せはオーダーメイドですね。
吉本 はい。この本が、その人にとっての幸せを考えるきっかけになったらうれしいです。
ゲスト:吉本ばなな(よしもと・ばなな)1964年、東京生まれ。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。著作は30カ国以上で翻訳出版され国内外での受賞も多数。近著に『下町サイキック』。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。
聞き手:綿矢りさ(わたや・りさ)1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。01年『インストール』で文藝賞を受賞しデビュー。04年『蹴りたい背中』で芥川賞を受賞。12年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞、19年『生のみ生のままで』で島清恋愛文学賞を受賞。『勝手にふるえてろ』など著書多数。
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