芸能

ホントーク〈朝井リョウ×綿矢りさ〉(2)読者レビューは読まなくなった

綿矢 朝井さんは読者の感想とか気になりますか?私は「読書メーター」(読書コミュニティサイト)は読んでいます。

朝井 具体的(笑)。昔はアマゾンの星の数の分布図を暗記していたくらいかじりついていましたが、今は手紙でいただいた感想だけ読むようにしています。

綿矢 どうしてですか?

朝井 まず、単純にものすごく時間を割いてしまうから。時間が溶けるんです。あと、次作を書く時にいろいろと思い出して引っ張られてしまうことが結構あって。なので、総合的に考えて、今は読まないほうがいいかな、と。綿矢さんは引っ張られたりしないですか?

綿矢 引っ張られますね。けなされているとかえって闘志がわきますが、褒められると「次にガッカリさせたらどうしよう」と思ったりすることもあります。見ないようにしても、ジャンクフードみたいに誘惑に負けてしまって(笑)。寝る前に「私、これだけ頑張って原稿書いたけれど、本当に読んでいる人いるのかな」と思う時に読んでしまうこともあります。

朝井 わかります。誰もいない宇宙に向かって原稿を放り投げている感覚!

綿矢 今回の作品についての感想で、印象に残っているものはありますか? 人の内面に問いかける内容だったので、読む人によって感想がバラバラになるのでは、と思いました。

朝井 おっしゃる通りで、長くお付き合いがある編集者さんから今までで一番歯切れが悪いメールが届いたり、逆に年に一度ほどしかやりとりのない方から、メール本文ではなくてWordファイルを添付してまでものすごく長い感想が届いたりしました。内容も、同じ作品の感想とは思えないほどバラバラです。

綿矢 感動したとか、考えさせられたとか、笑えたなど、感想がそろう作品もありますけど、この本はいろいろな読み方ができますよね。だからこそ、私も自分の角度で読んでいいのかな、と思いました。

朝井 私は「パッキパキ北京」(集英社)みたいな、主人公が真剣であるほど笑える小説が大好きなので、笑えたという感想は超うれしいです!

ゲスト:朝井リョウ(あさい・りょう)1989年、岐阜県生まれ。09年「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。13年「何者」で直木賞、「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞、21年「正欲」で柴田錬三郎賞を受賞。

聞き手:綿矢りさ(わたや・りさ)1984 年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。01年「インストール」で文藝賞を受賞しデビュー。04年「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞。12年「かわいそうだね?」で大江健三郎賞、19年「生のみ生のままで」で島清恋愛文学賞を受賞。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
「京都崩壊」の信じがたい現実…外国人観光客専用都市に激変した「不気味な風景」
2
商品価値が落ちたヤクルト・村上宗隆「メジャー計画変更」で大谷翔平と同じ道を
3
山尾志桜里の「公認取り消し」騒動を起こした玉木雄一郎は「榛葉幹事長人気に焦った」って!?
4
土壌ラドン濃度・衛星観測・上空発光…火山噴火と大地震「前兆キャッチ」の新技術がスゴイ!
5
「絶対にやめろ」に大反発!トルシエ元日本代表監督が初めて明かした日本サッカー協会とのバトル