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記事全文を読む→日本と韓国を締め出したはずの中国がK-POPライブで「韓国エンタメをちょっとだけ解禁」した習近平政権への「若者の暴発」
「いくらなんでも、あからさますぎるだろ!」
今、韓国の若者たちの間で、そんな声が飛び交っている。高市早苗首相による台湾有事発言以降、日本人アーティストの公演や日本映画の上映を次々と中止に追い込んでいる中国。そんな中国当局が、9年続いた「限韓令」を突如として緩和し、韓国の大手芸能事務所にK-POPのライブ開催を打診した、との記事が韓国メディアで報じられた。突然の手のひら返しは、いかなる事情によるものか。
韓国は2016年に、アメリカの最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備を決定。これに搭載されたシステムは、発射された弾道の種別を瞬時に識別、しかも1000キロ先まで届くという優れモノだ。韓国の米軍基地に配備されれば、中国にとってこの上ない脅威になることは必至となる。
中国はその報復策として「限韓令」を敷き、中国国内における韓国エンタメをほぼ全面停止にしたのである。
「最大の海外市場である中国を失った韓国エンタメ界は、大きな打撃を受けることになりました。ところが皮肉なことに、この限韓令が9年続いたことで、その間にBTSや『イカゲーム』、さらにNetflix時代が到来。それらが韓国コンテンツを世界市場仕様に押し上げました。そして韓国エンタメ界の中国依存脱却を後押しする形になったわけです」(韓国芸能に詳しいジャーナリスト)
韓国のエンタメが世界的に大ヒットすれば、中国の若者の間で「韓国エンタメ禁断症状」が出るのは当然のこと。その不満は中国政府へと向けられた。
「中国政府としては、政治に対抗する若者たちの不満を和らげたい思惑があった。そんな中で高市発言があり、日本のエンタメ締め出しが始まりました。ただ、日本もダメ、韓国もダメとなれば、若者の政府批判はさらに強まる。そこで韓国を少しだけ解禁することで、日本締め出しによる『娯楽ロス』を穴埋めし、批判から逃れようと。今回の限韓令緩和には、そんな中国政府の姑息な思惑が見て取れます」(前出・ジャーナリスト)
よく「文化交流は政治を超える」と言われるが、中国にとってエンタメは「平和の架け橋」ではなく、THAADへの報復でもわかるように、あくまでも政治の一部だ。むろん韓国も、中国の狙いは織り込み済み。韓国大統領室はこうコメントしている。
「1月初めに中国でK-POPコンサートを開催するという内容について、確定した事実は何もない」
ともあれ、台湾有事や半導体、経済安保など、あらゆる局面で日米韓の連携が強まる中、「韓国だけは引き剥がしたい」と躍起になる中国。今や政治会談や軍事交渉よりも、はるかに安上がりで効果的な手段とされる「エンタメ外交」が、重要な道具となりつつある。
(灯倫太郎)
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