芸能
Posted on 2025年12月30日 10:00

年末年始の「漫才・コント番組」でこそわかる「次に売れる芸人」重要キーワードは「完成していない賞レース準優勝者」

2025年12月30日 10:00

 年末年始はお笑い芸人にとって、1年で最大の稼ぎ時といえるだろう。しかもネタ番組が多いのが特徴だ。普段はもっぱらMCやひな壇で活躍する芸人も、この時ばかりは本業の漫才やコントを見せてくれるので、お笑い好きにとっては芸人たちの現在地と実力をまとめて見渡せる楽しみな時間となる。

 と同時に「次に売れる芸人」が一気に可視化されるタイミングでもある。「女芸人No.1決定戦 THE W」の優勝者ニッチェや「M-1グランプリ2025」の優勝者たくろうなど、賞レースの覇者が引く手あまたなのは当然として、問題は「M-1」準優勝のドンデコルテだ。

 実は「M-1」にはひとつの説がある。「優勝者よりも準優勝者の方が売れる」というものだ。2004年の南海キャンディーズ、2008年のオードリー、2010年のスリムクラブ、2019年のかまいたち、そして、昨年のバッテリィズだ。いずれも優勝は逃したが、大会後の飛躍という点では、王者以上の存在感を放っている。

 優勝者は「完成形」として消費されやすい。ところが準優勝者は「まだ伸びる」「もう一段化ける」という期待値が含まれているからかもしれない。
 2025年大会の準優勝者ドンデコルテなど、まさにそれだ。ツッコミの小橋共作とボケの渡辺銀次。結成は2019年、吉本興業所属のお笑いコンビだ。

「M-1」では「デジタルデトックス」をテーマに、自身の境遇に社会問題をプラスしたネタで爆笑をさらっていた。渡辺の「厚生労働省の定めた基準によると、貧困層に属します。国が認める貧困層」と淡々と語る自虐ネタに引き込まれたのは言うまでもない。個人的には「ミルクボーイ」の「うちのおかんが好きな○○があってな」というネタを初めて聞いたぐらいの衝撃があった。

「五里霧中、望むところ!」「スワイプ、スワイプ」「めざめるな」などなど、渡辺が放つキャッチーな言葉は何度聞いても面白く、中毒性がある。自虐を入れつつ、誰もが思う社会への違和感や政治への距離感などを笑いに換える鮮やかなネタは、単なる時事風刺や愚痴とは一線を画すものだ。

 さらに講談師や落語家のように、立て板に水のごとく流暢に話す渡辺の語り口、言葉の選び方や間の取り方に確かな知性がにじむ。学歴云々を持ち出すのはヤボだが、都立大卒は伊達じゃないと思わざるをえない。
 ツッコミの小橋はTBSのニュース番組で漫才を披露した際、「声がいい」と褒められていた。「どちらかを自身のドラマに起用するなら」との質問に、迷わず小橋を選んだ三谷幸喜。「アリtoキリギリス」の石井正則が三谷に見い出されて「古畑任三郎」シリーズで人気を博したように、小橋も俳優としての道が開けるかもしれない。

 そんなこんなで、この年末年始はドンデコルテである。2026年、その名を見かける機会は確実に増えていくはずだ。

(堀江南/テレビソムリエ)

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