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記事全文を読む→【五輪】スキージャンプ二階堂蓮「メダル3個」までの「大学中退・田植えアルバイト・社長室で謝罪」激動人生
2月15日のスキージャンプ新種目「男子ラージヒル スーパーチーム」で、二階堂蓮は飛距離138.5メートル、銀メダル確実の大ジャンプを記録したものの、その後の数分間の降雪、滑走中止で幻の記録になった。父親の学もまた悲劇のジャンパーであり、本人も新型コロナ禍でスキージャンプ練習ができず、大学中退からの無職生活を余儀なくされている。
悲劇は1991年3月3日に遡る。翌年のアルベールビル冬季五輪の代表選考を兼ねた「第62回 宮様スキー大会国際競技会」(札幌市)。1回目のジャンプで上位に食い込んだ蓮の父・二階堂学は2本目のジャンプでバランスを崩し、高層ビルの40階に相当する高さ133メートルの大倉山ラージヒルジャンプ台から、まさかの落下という事態が起きる。
頭部外傷を負って意識を失い、救護される様子が生放送。視聴者は予期せぬ大惨事に凍りついた。翌シーズン、奇跡的に復帰したが、治療中のブランクが影響して、アルベールビルの代表選考から漏れてしまう。
その父にメダルをかけることを目標に、蓮もジャンプ選手になり、2020年4月に東海大学に進学するも、新型コロナが直撃。思うような練習ができず大学を中退し、田植えや草刈りの派遣アルバイトで練習費用を稼いだ。
苦境の中「日本ビールスキー部」から支援の申し出があり、2022年からW杯に参戦できるようになる。
日本ビールはバブル時代の「コロナビール」ブームの立役者となった輸入代理店だ。1988年に放送された浅野ゆう子と浅野温子のダブル主演ドラマ「抱きしめたい」(フジテレビ系)で、2人が切ったライムを入れたコロナビールの瓶をそのまま飲む…そんなシーンをきっかけに、大ブレイクした。
2010年にコロナビールの販売権を手放しており、蓮のジャンプ選手人生を変えた新型コロナ禍で、ウイルスと同じ名前でコロナビールが売れなくなった際の風評被害は免れている。
蓮はといえば、2年間W杯を転戦しても、最高成績は28位とふるわず。さらにスキー部顧問で1956年のコルティナ・ダンペッツォ五輪で史上初の非白人メダリストとなった、国際オリンピック委員会(IOC)名誉委員・猪谷千春氏(日本ビールスキー部顧問)からの激励の手紙
をもらってもスルー。成績不振の上に社会人としての礼儀も欠くとして、2年前に「支援打ち切り=クビ」宣告を受けた。
日本ビールの社長室で謝罪の言葉を絞り出し、同社からの支援継続を取り付けると競技態度を改めて、2026年1月にW杯初優勝。新型コロナで競技人生が狂わされたとはいえ、1年ちょっとの付け焼き刃で金メダルを獲れるほど世界は甘くない。
今大会の男子ラージヒル、父は審判員、4兄妹全員がメダリストという、二階堂家にも劣らぬスロベニアのジャンプ一家プレブツ家の三男ドメン・プレブツが記録したヒルレコード141.5メートルの大飛翔には及ばなかった。
2月15日の「サンデーモーニング」(TBS系)に解説者として出演した長野五輪個人ラージヒル、団体ラージヒル金メダリストの船木和喜は、アップルパイ製造販売の会社を経営して遠征資金を稼ぎながら今も現役を続ける自身と、蓮の姿を重ねたのだろう。番組には飲料会社、酒造会社のスポンサーがついておらず、船木は「日本ビール」の社名を4回連呼。おかげで同社の通販サイトにはアクセスが集中し、一時ダウンした。2月17日にようやく正常化している。
同社に「コロナビール」以来の大ブレイクを呼び込んだ二階堂蓮。今回大会では銀メダル1、銅メダル2を獲得した。父に贈る金メダルは、2030年のフランス大会に持ち越しとなった。
(那須優子)
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