エンタメ
Posted on 2026年03月22日 09:00

バルミューダ「針のない置き時計」5万9400円が「ニトリで十分」「時間が分からない」と嘲笑される「同じ失敗を繰り返す」挑戦

2026年03月22日 09:00

 バルミューダが5万9400円の、針のない置き時計「The Clock」を発表した。LED光点で時刻を表現するこの製品には厳しい指摘が相次ぐ。「実用性ゼロ」「またデザイン重視」というものだ。ブランドのイメージは固定化し、信頼が揺らいでいる。

「The Clock」は懐中時計風で、光の位置で時刻を読む。いかにもバルミューダらしい美学的アプローチだが、確かに実用性には疑問が残る。「6:10か2:30か分からない」「ニトリの1000円時計で十分」と突き放されるのは、光点の位置から正確に時刻を判断するのが難しいからだ。

 バルミューダは2010年代、高級トースターや扇風機で「美しい家電」というブランドを確立。革新的なデザインと実用性の両立が評価され、市場を席巻した。
 ところが2021年、転機が訪れた。この年に発売の「BALMUDA Phone」(約10万円)は、性能不足とデザイン重視の矛盾で炎上。販売終了となり「デザインだけでは買わない」という市場の現実を知ることとなった。

 そして2023年10月、バルミューダは同じ失敗を繰り返す。ホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」(4万2900円)である。厚さ6.6ミリのステンレス鉄板で温度制御精度は優秀だが、実際のユーザーからは厳しい声が上がった。「設定温度に到達するまで15分もかかる」「肉がひっつく」といった実用性への不満だ。
 さらに、焼きそばを作るには約1万円の縁付プレートのオプション購入が必須で、「本体と合わせて5万円以上もかかる」という指摘が。コストパフォーマンスへの不信感は根深いのだ。

 業績の悪化は顕著だ。2021年12月期は売上高183億7900万円、営業利益15億1800万円だったが、2022年12月期には営業利益が7500万円に急落。2023年12月期に20億7100万円の最終赤字を計上した。スマートフォン事業撤退の特別損失に加え、家電市場の競争激化と円安の影響が重くのしかかっている。

 興味深いのは、BALMUDA Phoneが中国で再評価されていることだ。かつて200元台(約4540円)で投げ売りされたが、現在は800元台(約1万8150円)で取り引きされている。
 中古プラットフォーム「閑魚」では「数碼宅女(デジタルオタク女子)」と自称する女性グループが強い支持を集める。彼女たちは性能より「見た目」や「個性」を重視し、スマートフォンを手帳のようにデコレーションして「飾って使う」ことが前提となる。BALMUDA Phoneの反主流的で「優しく柔らかい外観」が、個性を求める若者の心に響いたのだ。
 日本市場で「失敗作」と断定されたものが、別の文化圏では「最も美しい電子ゴミ」と愛される。市場によって評価が全く異なるのだ。
 
「The Clock」は、こうした経営危機と失敗パターンの繰り返しの中で発売される。ブランド信頼が揺らぐ中での新製品投入は、バルミューダの「デザイン本位」への矜持という意思表示だろう。実用性とデザインのバランス。その葛藤は、バルミューダという企業の根本的な課題である。
 4万円のホットプレートで「配線がチープ」と指摘され、6万円の時計で「ニトリで十分」と笑われる。「The Clock」は売り上げを伸ばすのか、それとも次の失敗事例となるのか。答えは4月の発売後に明らかになる。

(ケン高田)

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年09月14日 11:30

    AIは本当に人類を終わらせるのか。専門家のとある主張が世界を震撼させている。その「AI終末論」は、AI開発企業アンソロピックに勤めていた元研究員、ジェイコブ・コクソン氏によるもの。Xで「AI研究関係者の多くが、AIは今後10年以内に人類を破...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    事件
    2026年09月16日 20:30

    「ゾンビたばこ」と呼ばれる指定薬物「エトミデート」は、広島カープに大きな衝撃を与えた忌まわしいブツだ。元広島カープの羽月隆太郎氏にこれを譲り渡したとして医薬品医療機器法違反の罪に問われた会社役員・滝口涼介被告の初公判が9月16日に広島地裁で...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    社会
    2026年09月17日 07:15

    20世紀最大級のミステリーと言われてきた、イギリス・スコットランドのネス湖に生息するという未確認動物(UMA)の「ネッシー」に、再び熱い視線が注がれている。いったいなぜか。一時期は目撃情報が激減し、専門家からは死亡説や、人間の活動を警戒して...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/15発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク