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記事全文を読む→バルミューダ「針のない置き時計」5万9400円が「ニトリで十分」「時間が分からない」と嘲笑される「同じ失敗を繰り返す」挑戦
バルミューダが5万9400円の、針のない置き時計「The Clock」を発表した。LED光点で時刻を表現するこの製品には厳しい指摘が相次ぐ。「実用性ゼロ」「またデザイン重視」というものだ。ブランドのイメージは固定化し、信頼が揺らいでいる。
「The Clock」は懐中時計風で、光の位置で時刻を読む。いかにもバルミューダらしい美学的アプローチだが、確かに実用性には疑問が残る。「6:10か2:30か分からない」「ニトリの1000円時計で十分」と突き放されるのは、光点の位置から正確に時刻を判断するのが難しいからだ。
バルミューダは2010年代、高級トースターや扇風機で「美しい家電」というブランドを確立。革新的なデザインと実用性の両立が評価され、市場を席巻した。
ところが2021年、転機が訪れた。この年に発売の「BALMUDA Phone」(約10万円)は、性能不足とデザイン重視の矛盾で炎上。販売終了となり「デザインだけでは買わない」という市場の現実を知ることとなった。
そして2023年10月、バルミューダは同じ失敗を繰り返す。ホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」(4万2900円)である。厚さ6.6ミリのステンレス鉄板で温度制御精度は優秀だが、実際のユーザーからは厳しい声が上がった。「設定温度に到達するまで15分もかかる」「肉がひっつく」といった実用性への不満だ。
さらに、焼きそばを作るには約1万円の縁付プレートのオプション購入が必須で、「本体と合わせて5万円以上もかかる」という指摘が。コストパフォーマンスへの不信感は根深いのだ。
業績の悪化は顕著だ。2021年12月期は売上高183億7900万円、営業利益15億1800万円だったが、2022年12月期には営業利益が7500万円に急落。2023年12月期に20億7100万円の最終赤字を計上した。スマートフォン事業撤退の特別損失に加え、家電市場の競争激化と円安の影響が重くのしかかっている。
興味深いのは、BALMUDA Phoneが中国で再評価されていることだ。かつて200元台(約4540円)で投げ売りされたが、現在は800元台(約1万8150円)で取り引きされている。
中古プラットフォーム「閑魚」では「数碼宅女(デジタルオタク女子)」と自称する女性グループが強い支持を集める。彼女たちは性能より「見た目」や「個性」を重視し、スマートフォンを手帳のようにデコレーションして「飾って使う」ことが前提となる。BALMUDA Phoneの反主流的で「優しく柔らかい外観」が、個性を求める若者の心に響いたのだ。
日本市場で「失敗作」と断定されたものが、別の文化圏では「最も美しい電子ゴミ」と愛される。市場によって評価が全く異なるのだ。
「The Clock」は、こうした経営危機と失敗パターンの繰り返しの中で発売される。ブランド信頼が揺らぐ中での新製品投入は、バルミューダの「デザイン本位」への矜持という意思表示だろう。実用性とデザインのバランス。その葛藤は、バルミューダという企業の根本的な課題である。
4万円のホットプレートで「配線がチープ」と指摘され、6万円の時計で「ニトリで十分」と笑われる。「The Clock」は売り上げを伸ばすのか、それとも次の失敗事例となるのか。答えは4月の発売後に明らかになる。
(ケン高田)
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