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記事全文を読む→【実録】「ダービージョッキー」松山弘平がゲート入りから激闘していた「あー、やめて!ヤバイ、やるなよ!」生々しい肉声
今年の日本ダービー(5月31日、東京・芝2400メートル、3歳牡牝)は、1番人気の皐月賞馬ロブチェンが優勝して「クラシック2冠」を達成。鞍上の松山弘平は皐月賞馬アルアインで5着に敗れた2017年の雪辱を果たし、デビューから11回目の挑戦で栄えある「ダービージョッキー」の称号を手にした。
しかし、レースは「1番人気馬が順当に勝ちを収めた」という予定調和的な内容では毛頭なく、内実は松山の「肝が据わった大胆な騎乗と度胸」がもたらしたギリギリの勝利だったと言える。
その松山とロブチェンによる激闘譜を、JRAの公式YouTubeチャンネルで公開された「ジョッキーカメラ」の映像と音声で振り返ってみよう。
ハラハラドキドキの緊迫感は、ゲート入りから漂っていた。大観衆で埋め尽くされた正面スタンド。ロブチェンがゲート内で暴れそうな気配を察した松山は「あー、やめて、やめて。我慢してな」と声をかけたが、ゲート内で立ち上がろうとする様子を見てとるや「はい、はい、やめて! あーヤバイ! やるなよ!」と必死に愛馬をなだめる。なんとか落ち着いたところを見計らって、松山が係員に「よし、オーケーです」と告げた直後、運命のゲートが開いた。
レースは外枠17番ゲートからのスタートで少し後手を踏んだこともあって、ロブチェンは松山が思い描いていた好位ではなく、中団の外を回らされる展開に。しかもペースは上がらず、1000メートル通過は60秒7。向こう正面の中間地点を過ぎた時、最後方にいたバステールの川田将雅がスローと読んで、一気に動いた。
しかし松山は、馬の力を信じて我慢。思えば、これが勝負の分かれ目だった。松山が仕掛けたのは4コーナーの出口付近。それからは一度も手綱を緩めることなく追いまくり、ロブチェンはアタマ差の大接戦を制したのである。
もっとも、松山自身は半信半疑だったようだ。2コーナー付近で馬を返した松山は、声を震わせながら「どっち? わかんない」と自問自答。そして仲間のジョッキーから「ロブチェンが1着だって!」と教えられると、
「ホント! ヤッター、ありがとう! 微妙やったけど、大丈夫だよね!」
勝利を確かめ、噛みしめるように喜びを爆発させると、ロブチェンの首筋を撫でながら、涙声で次のように語りかけた。
「マジか、ロブ! ホントに勝った! すごいな、オマエ!」
秋の菊花賞は能力を最大限に発揮できる絶好の舞台
実は地下馬道まで引き返してきた時、厩舎スタッフから「楽しめた?」と問われた松山は、次のようにレースを振り返りながら、ホンネを吐露している。
「どうかなあ。危なかったね。最後の1完歩で手前を替えて『ヤバイ、アカン』と思ったけど。思ったよりポジションも取れなくて。今回は差しになってしまったけど、ロブチェンの力を信じてよかった。(川田が)動いてきた時にヒヤッとしたけど、我慢してしっかり脚を使ってくれた。ダービージョッキーか…」
前走のGI・皐月賞(中山・芝2000メートル)を含めて「スピードとスタミナの持続力」と「長くいい脚を使えること」を証明してみせたロブチェン。となれば、3コーナーの坂上から長い下り坂が続くGI・菊花賞(京都・芝3000メートル)は、同馬の能力を最大限に発揮できる絶好の舞台と言えるのではないか。
ちなみに松山は、2020年にデアリングタクトで牝馬クラシック3冠を達成している。もしロブチェンが今秋の菊花賞を制することになれば、松山には史上初の「牡牝クラシック3冠ジョッキー」の栄誉が転がり込むことになるのだ。
(日高次郎/競馬アナリスト)
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