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記事全文を読む→阪神・藤川球児監督「抗議退場と怒りの殴打」熊谷敬宥の「盗塁アウト」で審判はなぜリプレー検証の「中身」を説明しないのか
「映像を見た結果、なぜアウトなのか」
6月10日の阪神×ソフトバンク戦でプロ野球が本当に引っかかったのは、阪神・藤川球児監督の退場そのものではない。長い検証の末に下された判定がなぜそうなったのかを、最後まで誰も説明してくれなかったことだ。
試合は2-3の7回表、一死一塁。一塁走者の熊谷敬宥が二盗を仕掛けたが、際どいタイミングでアウトの判定。熊谷の足が先に二塁ベースに到達したように見えた。藤川監督はこの日、二度目のリクエスト権を行使。
だが約5分に及ぶ検証で判定は覆らず。藤川監督は納得がいかない表情でベンチを飛び出し、抗議。リプレー検証後の異議申し立てとみなされ、就任後初の退場処分となった。
みずほペイペイドームの空気は一気に張り詰めた。左翼席の虎党から大きなブーイングが起こり、球場はどよめいた。リプレー判定後には、怒りが収まらない一部のファンがグラウンドへゴミを投げ入れ、それをソフトバンクの選手が拾う場面まで見られた。
藤川監督は退場宣告後、ベンチでホワイトボードを殴って怒りをあらわにした。
リクエストは「真実を判定する制度」ではなく、「原判定を覆す明確な証拠があるかを見る制度」だ。導入されたのは2018年だが、2026年から仕組みが変わった。
東京のNPB事務局内に設けたリプレーセンターに現役審判員2名が常駐し、各試合の中継映像を確認する。監督がリクエストすると、球場の控え審判員からセンターへ連絡が入り、センターの審判員が映像を見て判定。その結果が責任審判に伝えられ、ジェスチャーなどで示す。球場の審判団だけで映像を見ているわけではないのだ。
MLBは「覆る」「映像で確認される」「覆す証拠がなく原判定維持」の3つ
だが、専門のセンター審判員が見ているなら、なおさら知りたくなる。何を根拠にアウトなのか。映像で明らかにアウトだと確認したのか、それとも覆す証拠がなかっただけなのか。選手、首脳陣、観客に届くのは「アウト」という結論だけで、その手前の検証は省かれている。不満が残るのは、判定そのものよりこの一点だ。
参考になるのがMLBだ。明確な証拠がなければ原判定維持、という考え方はNPBと同じ。ニューヨークの専用センターで検証する点も近い。違うのは見せ方である。
2022年から審判がマイクを使い、どのプレーが検証対象になり、結果がどうなったのかを、場内と中継に向けてアナウンスするようになった。判定の扱いは「覆る」「映像で確認される」「覆す証拠がなく原判定維持」と分けられている。NPBもリプレーセンター化でこの方式に近づいたが、観客への説明という点ではまだ差があるわけだ。
藤川監督の初退場は、怒れる指揮官の一場面で終わるものではない。ブーイングやグラウンドへのゴミ投入を招いたのは、判定そのものではなく、制度への理解不足と説明不足だろう。
次に際どい判定が出た時、また同じ「納得のいかない光景」が繰り返されるのか。それともNPBがその前に、説明の仕組みを整えるのか。
(ケン高田)
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