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記事全文を読む→千利休に「落とし穴ドッキリ」を仕掛け珍パフォーマンスで豊臣秀吉を歓喜させた茶人の「変わった生き方」
変わり者として知られる茶人「ノ貫(へちかん)」をご存じだろうか。生没年は不明で、京都の出身とも美濃(現在の岐阜県)の出ともいわれるが、定かではない。目立つのが大好きな人物で、太閤・豊臣秀吉が天正15年(1587年)に主催した「北野大茶湯」では、直径3メートル近い真っ赤な傘をドーンと立ててお茶を出し、参加者どころか秀吉までも驚かせた。
万事派手好みの秀吉は当然のごとく喜び、褒美として税金などの諸役を免除する特権を与えた上に、茶の指南役を要望したが、権力者をなんとも思わないノ貫は断ったという。権力者である秀吉に近づきすぎて、最後は切腹を命じられた千利休とは全く違う生き方だ。
目立つのは好きだったが暮らしは質素で、京都の山科にある山の中に庵を設け、自由に暮らしていた。高価な道具はいっさい持たず使わず、ひとつのヤカン(手取釜)だけで、ご飯を炊くのも粥を煮るのもお茶を淹れるのも済ませていたらしい。
利休とは友人関係にあったが、いたずら好きのノ貫がドッキリを仕掛けたというエピソードが残されている。
泥だらけになった利休は入浴後に最高の茶湯を振る舞われた
ある日、ノ貫はわざとウソの時間を教えて、利休を茶湯に招いた。その際、露地の潜戸(くぐりど)の前に穴を掘り、きちんと上に土をかぶせて偽装。立派な落とし穴を作ったのである。
まんまと穴に落ち、泥だらけになった利休は風呂に入り、さっぱりとした姿で最高の茶湯を振る舞われたという。実は利休は弟子の期明から、落とし穴のこと聞かされていたといい、
「亭主の作意を台なしにしますから、知りながら穴に落ちた」
と後日、語ったそうである。
なにやら負け惜しみとしか思えず、今となっては真実は分からないが、もし本当だとすれば、テレビのドッキリ番組の元祖かもしれない。
晩年は薩摩へ下ったとされ、鹿児島郡西田村に「ノ恒石」なる塚がある。
(道嶋慶)
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