芸能
Posted on 2026年08月09日 10:01

映像ディレクター・佐々木敦規の「お台場ハチャメチャ青春記」〈第1回〉(2)王道バラエティーを叩き込む

2026年08月09日 10:01

 佐々木敦規、59歳。

 大学在学中から制作会社のADとしてテレビ番組制作に携わってきた。ディレクターに昇格すると、フジテレビで料理番組、K-1格闘技中継、バラエティー、ドキュメンタリー、情報番組なども担当した。

 転機となったのは「アイドル道」(CSフジテレビ721)でアイドル育成バラエティーを手掛けた時。佐々木はこの現場で当時、沢尻エリカのマネージャーだった川上アキラと出会う。2人には共通点が多く、すぐに意気投合した。

「彼はめちゃめちゃテレビっ子で、ドリフ(ザ・ドリフターズ)で育ってプロレス大好き。話してすぐに相性がいいとわかりました」

 番組は2年間で終わり、その後、2人に接点はなかったが、それから7年後の2010年、突然、川上から連絡が来た。ももクロ初のホールコンサート、同年12月の日本青年館ライブの演出オファーだった。佐々木は困惑した。

「ずっとテレビ番組を作ってきたけど、ライブ演出は未経験でした。そうしたら、川上さんは『ももクロは佐々木さんが「アイドル道」でやってたような、こっちのフィールドに来させるアイドルにしたいんだ』と言うんですよ」

 川上が思考していたももクロのイメージは、「アイドル、アイドルしていないアイドル」だった。

「『アイドル道』は当初、アイドル大好きなフジテレビのプロデューサーからのオファーでした。当時の僕は『とんねるずのみなさんのおかげでした』のディレクターとして、TVバラエティーのど真ん中にいました。そんな僕が『アイドルはまったくわからないですよ』と渋ったら、プロデューサーは『佐々木さんの思うアイドル番組でいいです』と言ってくれた。それで『僕の好きなようにやっていいならやらせてください』とOKしました」

 佐々木はM-1優勝前のアンタッチャブルをMCに据えて、まだ無名の中川翔子、北乃きい、沢尻エリカ、紗栄子らにチアリーディング、寝起きドッキリ、水泳大会などに挑戦させて“王道バラエティー”の基礎を叩き込んだ。

「当時のアイドル番組は、めちゃめちゃアイドルに寄せた、アイドルファンしか見られないものばかり。僕は『お笑いファンも楽しめるアイドル番組』を打ち出したんです。アイドル側のフレームに飛び込むのではなくて、『俺らバラエティー班にお前らアイドルは喰らいついてこいよ』と」

 佐々木は秋葉原のライブハウスに足を運び、ももクロのライブを観た。ほぼ段差のない小さなステージで、汗だくになって全力で歌い踊るメンバーのパフォーマンスに感動し、佐々木は川上にこう問いかけた。

「僕はアイドルのことはわからないし、音楽は大好きだけどライブ演出は一度もやったことがない。それでもいいですか?」

 と聞くと、川上は、

「佐々木さんが思ったことをやってください」

 この言葉に佐々木は決意を固めた。

「やらせていただくからには、自分の引き出しでできることは全部やろう。彼女たちの最高の笑顔と、汗と全力のパフォーマンスで十分だけど、そこに僕の武器の『ドリフとプロレスと格闘技』を乗っけて最高の化学反応を起こしてやろう」

 まず佐々木が持ち込んだのが格闘技でおなじみ、試合前の“煽りV”だった。対戦相手との関係性をドラマティックに演出する手法だ。

 ももクロのライブ前に、これまでの彼女たちのストーリーを振り返り、ライブへの期待感を煽っていく。

 さらに、佐々木の人脈でプロレスラーの武藤敬司や天龍源一郎、K-1グランプリ前には優勝候補アリスター・オーフレイムとももクロを絡ませ、決勝戦のハーフタイムショーにも出演させた。さらにライブのゲストに加藤茶を呼び、「ひげダンス」の共演も実現。

「このおかげで、アイドルに関心のなかったプロレス・格闘技やお笑いのファンが、ももクロを見て『なんだこの子たち?』と興味を持ってネットで調べてくれて、会場にも来てくれました。芸人やタレントで『モノノフ』(ももクロの熱狂的ファンの称号)を公言する人も増えて、ファン層の広がりを感じました」

佐々木敦規(ささき・あつのり)1967年生まれ。演出家・映像ディレクター。フィルムデザインワークス取締役。「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」「とんねるずのみなさんのおかげでした」「IPPON GP」などのバラエティー、K-1やプロレスなど格闘技番組の演出を経て、ももクロのステージ演出を手掛ける。

取材・構成/茂田浩司(ライター&編集者)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年09月14日 11:30

    AIは本当に人類を終わらせるのか。専門家のとある主張が世界を震撼させている。その「AI終末論」は、AI開発企業アンソロピックに勤めていた元研究員、ジェイコブ・コクソン氏によるもの。Xで「AI研究関係者の多くが、AIは今後10年以内に人類を破...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    事件
    2026年09月16日 20:30

    「ゾンビたばこ」と呼ばれる指定薬物「エトミデート」は、広島カープに大きな衝撃を与えた忌まわしいブツだ。元広島カープの羽月隆太郎氏にこれを譲り渡したとして医薬品医療機器法違反の罪に問われた会社役員・滝口涼介被告の初公判が9月16日に広島地裁で...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    社会
    2026年09月17日 07:15

    20世紀最大級のミステリーと言われてきた、イギリス・スコットランドのネス湖に生息するという未確認動物(UMA)の「ネッシー」に、再び熱い視線が注がれている。いったいなぜか。一時期は目撃情報が激減し、専門家からは死亡説や、人間の活動を警戒して...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/15発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク