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Posted on 2026年09月20日 18:00

気になる著者に直撃!〈万城目学〉20年の時間が生み出した物語。ホルモーはずっと続いていく

2026年09月20日 18:00

「ホルモー燦燦」
KADOKAWA/2145円

 直木賞作家の万城目学氏が今年でデビュー20周年を迎えた。この節目の年に刊行されたのが「ホルモー燦燦」だ。デビュー作「鴨川ホルモー」から始まった大人気青春ファンタジーシリーズで、約20年ぶりの最新作にして完結編に込める思いを熱く語る。

 100匹の小鬼を操って闘う謎の競技「ホルモー」に京都の大学生たちが挑む「鴨川ホルモー」シリーズ。記念すべき年に執筆した理由をこう明かす。

「2年前に劇作家の上田誠さんが『鴨川ホルモー』の舞台を作ってくださって。その中で『社会人ホルモーってあるのかな』『そんなのないよ』というセリフがありました。それを聞いて『社会人ホルモーで何か書けそうだ』とひらめいたのがきっかけでした」

 いざ執筆に取りかかったものの、思わぬ苦労があったという。

「20年も待ってくださった読者がいて、『ホルモー』シリーズに対して皆さん強いイメージを持たれている。『どうすればがっかりさせずに済むか』ということばかり考えていました。しかも3作目となれば、読者も続編に対して予想があると思うんです。でも今回は、その予想を全部裏切る方向で作ろうと思いました。結果として、今の自分が書けるものに自然と変わっていきました」

 本書は「鴨川小覇王」「社会人ホルモー」「ホルモー喫茶去」という3編で構成されている。

「過去・現在・未来、それぞれのプレーヤーが入れ替わりながらも、ホルモーというものはずっと続いていくという流れを描きたかったんです。『鴨川小覇王』では、20年前と同じように鴨川でホルモーを繰り広げる京都の大学生たち、『社会人ホルモー』では、東京のある場所に続々と集ってくる各大学のホルモーサークルの元メンバーたち、『ホルモー喫茶去』では、ホルモーを知らない茶道部の女子高生が登場します」

 万城目氏は執筆するにあたり、茶道教室に通った。

「家の近くの運動会で、茶道部の人たちが走っていたんです。『茶道部の皆さん、頑張ってください』というアナウンスが聞こえてきて『茶道部が走るんだ』と思ったのが3編目の着想のきっかけです。今まで茶道に触れたことがなくて、道具の扱い方もわからなかったので、昨年の4月から茶道教室へ行って勉強しました」

 タイトル「燦燦」の意味については、こう明かす。

「ホルモー・シリーズ3作目で、3編のストーリーが入っているから『33(さんさん)』です(笑)。若者たちに燦燦と輝く光が降り注ぐように、という意味も込めています」

 万城目氏にとって「ホルモー」とは何だったのだろうか─。

「『ホルモー』や『オニ』を操る奇想天外な世界観は、僕の想像、デタラメですよ(笑)。ホルモーとは何かと聞かれること自体が成功した証だと思います」

 万城目氏は最後に、本作への思いをこう語った。

「思っていた以上に多くの読者が楽しんでくれました。こちらの予想を超えて、ホルモーというばかばかしい世界に入ってきてくれた方が多かった。20年かけて育った作品の存在感は感じますね。本作は20年の時間が生み出した物語、と言えます。20年前に読んだ方も、今回初めて読む方も、どちらにも楽しんでほしいです」

 〈原悟平〉

万城目学(まきめ・まなぶ)1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。06年にボイルドエッグズ新人賞を受賞した「鴨川ホルモー」でデビュー。24年「八月の御所グラウンド」で直木賞を受賞。「鹿男あをによし」「プリンセス・トヨトミ」「偉大なる、しゅららぼん」「バベル九朔」など著書多数。

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