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Posted on 2026年11月09日 06:30

1987年の大洋ホエールズ「1カ月で外国人2人がいなくなった」前代未聞の大失態/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」

2026年11月09日 06:30

 さかのぼること約40年前の1987年春。ヤクルトのボブ・ホーナーが加入直後からアーチを量産し、「赤鬼旋風」を巻き起こしていたのと同じ時期、日本野球界ではある外国人をめぐる騒動が勃発した。その主が、大洋ホエールズに電撃入団した現役メジャーリーガー、シクスト・レスカーノ(写真)だった。

 メジャー通算1122安打、148本塁打。1979年には打率3割2分1厘、28本塁打、101打点を叩き出し、強肩を生かした守備でゴールドグラブ賞を受賞した、超一流のスラッガーである。とはいえ、レスカーノ入団は、開幕前から波紋を広げていた。

 コトの経緯はこうだ。
 前年に打率2割9分1厘、14本塁打という成績を残したダグ・ローマンが、新指揮官・古葉竹識監督の意向と、外国人枠の影響でファームへ降格。2軍で打率4割5分4厘と怒りの猛威を振るうも、5月3日には「横浜のために役立てず残念」と言い残して、あっさり退団してしまう。

 自ら貴重な戦力を手放す形となった大洋が、次に白羽の矢を立てたのが、レスカーノだった。だがフィリーズ時代の1983年ワールドシリーズで、4番の重圧から体調を崩して欠場するなど、極めて繊細なメンタルの持ち主として知られていた。
 おまけに1986年は闘病中の妻の看護に専念するため、1年間プレーから離脱。そんなことから、他球団関係者からは当初から「あのメンタルで日本でやれるかどうかは甚だ疑問」との声が漏れていた。

 そんな不安をよそに開幕直後、レスカーノはメジャーリーガーの貫禄を見せつける。4月19日のデビュー戦でいきなり猛打賞を記録すると、5月9日の巨人戦(横浜)では初回に水野雄仁から先制3ラン、斎藤雅樹からも左翼席上段へ2ランを放ち、1試合2本塁打5打点の大暴れ。

なんと試合中に「代えてくれ」と監督に直訴した

 ところが、である。翌日から快音はピタリと止まってしまったのだ。外角へ逃げる変化球という明確な弱点を徹底的に突かれ、怒涛の22打席連続無安打。本人いわく、眠れない日々が続き、異国の地での重圧に押し潰された精神状態は、すでに限界に。

 そして迎えた5月16日の中日戦(横浜)。最初の2打席で三振、サードゴロと連続して凡退すると、自ら古葉監督のもとへ歩み寄ったレスカーノは、あろうことか「代えてくれ」と直談判。
 結局、試合途中で自らベンチを退き、そのまま二度とグラウンドへ戻ることはなかったのである。

 翌17日、現役引退の記者会見に臨んだ彼が目に涙を浮かべながら放ったのが、こんな言葉だった。
「自分の野球人生は燃え尽きてしまった。150キロのボールも怖くなかったが、今は140キロのボールにさえ向かっていけない。これ以上プレーを続けることはファンを裏切り、自分の心を偽ることになる」

 来日わずか20試合、打率2割1分7厘、3本塁打、7打点。ひと月の間に助っ人2人を立て続けに失うという前代未聞の失態を演じた大洋はこの年、首位の巨人と22.5ゲーム差の5位でシーズンを終えることになったのである。

(山川敦司)

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