スポーツ
Posted on 2012年06月07日 10:59

北島康介「29歳の進化」 ライバル訃報で誓った“頂点”への決意(3)

2012年06月07日 10:59

圧倒的な強さを見せつけた
 五輪イヤーの08年4月、筋力もついてパワーアップした北島は、日本選手権でさらに進化した泳ぎを見せた。100メートル準決勝では、前半が17で後半が19 とこれまでより少ないストローク数で泳ぎ、自己セカンドベストの59秒66をマークした。
 翌日の決勝は力が入った泳ぎになって59秒67とタイムを落とす結果となったが、自分の泳ぎに徹すれば59秒台前半を出せる手応えを得た。さらに200メートルでは2分08秒84の日本記録を出し、ハンセンへもあと一歩と迫ることができた。
 そして6月のジャパンオープンでは、さらなる進化を見せた。まだ泳ぎ込みの期間で肩も痛みだしている状態だったが、最初の100メートルでは59秒44の日本記録を出した。さらに大きな泳ぎに徹した200メートルでは、ハンセンの世界記録を1秒以上も更新する2分07秒51を叩き出したのだ。
 ライバルのハンセンに対し、強烈なプレッシャーを与えられた。指導する平井伯昌が、北京の金を確信した瞬間だった。
 高速水着問題でごたついた時期もあったが、「勝負するためにはスピード社のレーザーレーサーを着る」と決めてからは、スッキリした気持ちで北京へ向かえるようになった。
 そんな北島へのさらなる追い風は、ハンセンが全米予選の200メートルで4位になり、北京五輪代表になれなかったことだ。200メートルにライバルがいなくなり、最初にある100メートルに集中できるからだ。そのアドバンテージをしっかりと生かした北島は、五輪前の最終合宿では、58秒台を出せるまでの手応えを得るまでになった。
 3度目の五輪となる北京。平井と北島は自信に満ちあふれた状態で臨むことができた。予選の泳ぎを見て、ハンセンがもう強敵ではないことも判断できた。
 北島が前半の27秒台の入りを意識しすぎて失敗した準決勝では、アレキサンダー・ダーレオーエン(ノルウェー)が59秒16の好タイムを出して、ライバルとして浮上してきた。だが北島と平井にとっては失敗レースが決勝への方針を決めさせた。さらにダーレオーエンの存在も、脅威というより刺激になっただけだった。
 決勝で、北島はそんな心理状態のとおりの泳ぎをした。平井の「勇気を持って、ゆっくり、大きく泳げ」という指示を守ると、前半の50メートルは16と、100メートルでは自身最少のストローク数でいった。そしてターン後の浮き上がりで0秒18先行していたダーレオーエンを抜くと、あとはジワジワと差を広げ、2位に0秒29差をつける58秒91の世界新記録でゴールしたのだ。
 長年のライバルであるハンセンも、2レーンからわざわざ5レーンの北島のところまで来てくれた。自分が達成できなかった58秒台と五輪連覇を祝福しに来たのだ。北島も、
「レース後、ハンセンが『よくやったな』と言ってくれた時は、本当にうれしかったし、ホッとした」
 と振り返る。
 続く200メートルは、「勝って当然」という気持ちで泳いだだけだった。世界記録を出したジャパンオープンと同じストローク数でまとめたレース。150メートル通過までは世界記録ペースを上回っていたが、ラスト50メートルでタイムを落とし、2分07秒64での優勝となった。2位のブレントン・リカード(オーストラリア)とは1秒24の大差をつける圧勝。
 それでも北島は「いいレースはできたけど、思ったより最後が伸びなかった」と言い、平井も「正直、世界記録が出なくてという気持ちのほうがね・・・」と苦笑した。
 余裕を持った2大会連続2冠達成だった。

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2013年11月26日 10:00

    11月8日、歌手・島倉千代子(享年75)が肝臓ガンで死去した。島倉といえば、演歌の王道を歩むように、その生き様は苦労の連続だった。中でも、莫大な借金返済で味わった地獄は理不尽極まりなかったようで──。島倉は、男を信じて手形の保証人となったせ...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年04月28日 16:30

    バナナマンの日村勇紀が当面の間休養に専念すると、所属事務所ホリプロコムの公式サイトで発表した。今年に入ってから体調を崩すことが多く、医療機関を受診した結果、休養が必要との判断に至ったのだという。「心身の回復を第一に、コンディションを整えなが...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    スポーツ
    2026年05月13日 12:45

    衝撃的なトレードを成立させたのは、横浜DeNAベイスターズと福岡ソフトバンクホークス。両球団が「山本祐大と尾形崇斗、井上朋也の交換トレードが成立したこと」を発表したのだ。「DeNAは山本という正捕手の放出、それもシーズン中のトレードだったの...

    記事全文を読む→
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/5/12発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク