スポーツ
Posted on 2012年06月08日 10:59

松井秀喜「逆襲のフルスイング」(4)

2012年06月08日 10:59

ちらついた「引退」の二文字
「浪人生活」が長くなるなるにつれ、周囲からは「引退」の噂もささやかれていく。
 巨人時代を知る日本の関係者から「引退」の二文字が口に出されたのは、この頃だった。その根拠は2010年1月1日付のスポーツ報知での“告白”だ。09年─10年オフといえば、松井はワールドシリーズMVPに輝いた。同紙は同年日本シリーズMVPの阿部慎之助との対談を企画し、松井は自身の引退について、こう答えていた。
「どこからも必要とされなければ、引退するしかない。引退は自分の基準ではない。いかに自分がチームの力になっているかどうかで判断する。俺がいて、ただ迷惑なだけとか、力になれないなと思われているのなら、もうやらないな。数字を残していても・・・」
 2年を経て、まさにその言葉どおりになったと、関係者のみならず周囲の誰もが判断したのだ。
 引退カウントダウン・・・。
「今もメジャーを目指すことに変わりはない」
 松井とのメールのやり取りを父・昌雄は、地元紙に明かした。それが松井が出した答えだった。もうこの時点では、故障者を抱えたメジャー球団しか入団の可能性は残されていなかったが、松井の闘争心はまだ消えていなかったのだ。
 その願いはレイズに届いた。レ軍のジョー・マドン監督は25人のベンチ入り要員を使いきるくらい、試合序盤から代打を使う戦術に長けている。過去4年のレギュラーシーズンで平均127通りの「日替わり打線」を編成してきただけに、松井はその勝負強さから「クラッチヒッター」(チャンスに強い打者)と称されてきた。指揮官からすれば「使ってみたい選手」のはずだ。
 さらに、このタイミングでメジャーに昇格すれば、松井にとって絶好のチャンスとも言える。松井はこうも称されている。「セカンドハーフ・ヒッター」
 つまり、後半戦に強い選手という意味だが、言い換えれば、「スロースターター」でもある。
 レイズは松井獲得後も補強を続けており、後半戦まで「スロースターター」の松井を待ってくれない可能性もゼロではない。
 4打数無安打に終わった22日の試合後、松井はティーやマシンでの打撃練習を行った。誰の指示でもない。巨人時代から変わらずこなしてきたルーティンである。
「打球が野手の正面を突いているだけ。悲観しなくても・・・」
 現地入りした日本人メディアからはそんな声も聞かれた。寡黙にバットを振るベテランの背中は、若い3Aの選手の胸にも響くものがあったはずだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2013年11月26日 10:00

    11月8日、歌手・島倉千代子(享年75)が肝臓ガンで死去した。島倉といえば、演歌の王道を歩むように、その生き様は苦労の連続だった。中でも、莫大な借金返済で味わった地獄は理不尽極まりなかったようで──。島倉は、男を信じて手形の保証人となったせ...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年05月02日 18:00

    三陸沖で再び地震が発生し、富士山噴火を危惧する特番が組まれ、高市政権は武器輸出を解禁─この不穏な流れは何かの兆しなのか?いち早く察知したのは「Mr.都市伝説」関暁夫氏だ。30年以上前に作られたカードが、驚愕の未来を暗示しているという。いった...

    記事全文を読む→
    スポーツ
    2026年05月03日 18:00

    世界の大谷翔平の背中を追う「後継者」が、同じ米国で静かに存在感を強めようとしている。日本を経由せずに米大学で名を馳せて、即メジャー入団を夢見る怪物のことだ。ところが今、その進路を巡って“別シナリオ”が確定的と言われているのだ。は...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/4/28発売
    ■680円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク