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記事全文を読む→秋津壽男“どっち?”の健康学「眠れない夜に読書と寝酒のどちらが有効か?アルコールには催眠効果の後に覚醒効果が…」
昔の人は「春眠暁を覚えず」と言ったものですが、最近では5月に入ると、不眠を訴える患者さんが増えるようになりました。やはり、4月になって職場での異動や生活環境の変化などからくるストレスが大きな引き金となっているようです。
では、ここで質問です。眠りを誘う行動として有効なのは、適度な飲酒と読書のどちらでしょうか?
まず、飲酒について考えてみましょう。アルコールには催眠効果があり、アルコールをたしなむ程度でも深刻な不眠でなければ、寝つけるはずです。通常、飲み終わってから30分から1時間で眠気に襲われますが、デメリットもあります。眠りに落ちてから3時間ぐらいで覚醒効果が表れ、熟睡した時よりも早く目覚めてしまうのです。
「仲間と酒を飲んでいて、1時間ほどでウトウトと睡魔に襲われたものの、2軒目にハシゴしたら急に目が冴えてガンガン飲んだ」
というような経験は酒飲みなら誰しも思い当たるフシがあるでしょう。アルコールには、催眠効果のあとに覚醒効果が発現するために、結果的にかえって眠れなくなり、疲れも取れません。
しかも、飲みすぎれば肝臓などの臓器にもダメージを与えかねません。リスクだけを考えるのであれば、よっぽど睡眠薬のほうがベターと言えるでしょう。
では、読書はどうでしょうか? 朝まで眠れないぐらいの「ものすごくおもしろい本」に当たれば逆効果ですが、そんな夢中で読める本に出会える確率はものすごく低いはずです。
競馬ファンいわく、競馬新聞の細かい文字が「よく眠れる」と言いますが、小説でも週刊誌でも、読んでいるうちに眠くなるような本を、枕元に置いておくことで暗示効果も期待できます。
ただし、読書をするなら布団やベッドの中で読むよりも、椅子に座って読んだほうが効果的です。布団の中での読書は、中途半端な浅い眠りを誘発しかねません。ソファや椅子で本を読みつつ、眠くなったら布団に入る、という習慣をつけてみてください。
こういったアドバイスをすると、読書が嫌いな人から「眠れない時にテレビを観るのはどうですか?」と聞かれます。しかし、これは睡眠には逆効果です。なぜなら、深夜番組を作っている人たちは「視聴者をいかに眠らせず起こしておくか」ということに知恵をしぼって番組を制作しており、突然大きな音を出したり、出演者が叫んだりするのも、視聴者を起こす効果を狙っているからです。
それならば映画を観るほうが効果的で、字幕付きの洋画などオススメです。字幕を追っているうちに、いつしか眠くなるでしょう。
別の方法としては、あえて「目を閉じない」という手もあります。目を閉じると雑念や悩み事が浮かんできて、かえって目が冴えてしまうことがあります。
こうしたさまざまな雑念は、目を閉じるから浮かんでしまうのであり、部屋を真っ暗にして、暗い中、天井を見つめていると、そのうちコロリと眠れてしまうでしょう。読書も目を開けていますが、雑念を浮かべないためにも目は開けておくべきです。
また、医者ならば医学書、小説家なら芥川賞受賞作など、仕事絡みでいつしか読もう、勉強しよう、という本を枕元に置いておくのも手です。眠くなって寝られればベターですし、眠れずに読み続けても勉強になります。
つまり、どちらに転んでも得になる、そんな本がベストかもしれません。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。
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