社会

野田総理よ、ここまで言っても原発を動かすのかっ(2)

抗議活動が住民に与えた影響

「よう見ん顔やな。お前は原発反対派か?」

 記者が取材を終えて、おおい町の居酒屋に入ったところ、カウンターにいた酔客が記者に絡んできた。抗議活動に来た人間と思っているようだ。身分を明かすが、男はプイと横を向いて口もきいてくれなかった。

 おおい町の中心地から大飯原発に向かうには、青戸大橋と呼ばれる長い橋を渡る。そして、大島を北に進む。

 その途中に「第1ゲート」がある。抗議活動をしていた市民団体は、その場所を占拠してしまった。ふだんの警備に不安を感じる出来事であるが、住民にとっては迷惑でもあった。

 地元飲食店で働く20代の男性は間近でデモを見た。

「外国人からミュージシャンみたいな人までいて、異様な感じでした。夜中まで音楽をかけて騒いで、原発作業員が睡眠不足でミスったらどうするんだと思いましたよ。地元の人間はいなかったでしょう。田舎町だから顔がすぐに割れるし、『反対』って言っているヤツもいるけど『参加は無理だ』って言っていました」

 6月30日には600人以上はいたという抗議の人々は、大飯原発が送電を開始した頃には数人に減っていた。7月5日には、彼らが寝泊まりしているテントには、わずか6人しか残っていなかった。

 その1人である県外から来た30代の男性が言う。

「金がないんで、人数が減ってしまうのはしかたがない。住民への迷惑も織り込み済みです。声を上げなければ何も変わりませんから。暴走族からの妨害もありましたが、地元の女性から差し入れもいただきました。私たちは受け入れてもらえたと思っています」

 テントが張られている土地は、交付金で作られた施設内である。皮肉も含めた行動だそうだが‥‥。

 前出・70代男性は記者にこう話した。

「外のモンは無責任なことをよう言いよる。橋下徹大阪市長も最初は再稼働反対しとったなあ。ふだん、大都市にいて電気を使っておるくせにな。だったら、使用済み核燃料を持ち帰って大阪市内で保管してみいて」

 基幹産業として原発を受け入れ、内包する危険までも受け入れた。おおい町民にしかわからない複雑な思いがあるのだろう。

カテゴリー: 社会   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
4
「これは…何をやってるんですかね」解説者がア然となった「9回二死満塁で投手前バント」中日選手の「超奇策」
5
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き