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記事全文を読む→秋津壽男“どっち?”の健康学「掃除しだいでは思わぬ異変が起きることも。鼻と耳の垢、その知られざる“正体”」
前回は目ヤニについてお話ししましたが、今回は「鼻と耳」の垢(あか)、つまり鼻くそと耳くそについてお話ししましょう。
鼻くそとは鼻水とホコリが合わさり、鼻の中で固まったものです。通常は白っぽかったり黄色かったりしますが、喫煙者はタバコの煙により黒くなりがちで、スモッグが多い場所など空気の悪いところにいると黒っぽい色になります。
風邪をひくと黄色い色の鼻くそになるのは、風邪のウイルスと戦った白血球の残骸が鼻水として出たものです。
医学的に鼻垢とは言わず「鼻くそ」もしくは「ビコウ」と呼ばれます。鼻をかむと透明ですが、触るとポリポリしているのが通常です。
ちなみに鼻くそをほじった指を舐めたり、鼻くそそのものを食べる人もたまにいますが、食べても害はありません。
一方、耳くそは空気中のホコリや皮膚のカスに加え、外耳道にある耳垢腺から出た分泌物が混ざったものです。詳しくは後述しますが、乾いたものと湿ったものの2種類があり、医学的にも「耳垢」と称します。
では、ここで質問です。鼻掃除と耳掃除、掃除の必要がないのはどちらでしょう。
鼻くそはたまっても嗅覚には影響がありませんが、鼻くそをためても何のメリットもないため、軽く掃除をするのは無害です。ただし、爪で鼻の粘膜を傷つけることがあり、その結果として鼻血が出ることもあるため、指で直接ほじらず、ティッシュなどで拭うのがベストです。鼻の外に出てなければ、無理に掃除をすることもないでしょう。
一方、耳垢はだんだんと外に押し出されるため、放っておいても自然と出てきます。外耳炎を起こしたり、耳栓やイヤホンを長時間していたり、プールに入ったあとなどは分泌物も増えて耳の奥にたまりますが、耳の外に出た際に軽く拭えばいいことで、基本的には掃除の必要がありません。それでなくとも耳はデリケートな個所です。
むしろ、耳掃除をやりすぎて、耳の中を傷つけることのほうが多いのです。耳掃除はとても気持ちよく、ついやりたくなりますが、掃除のしかたを誤ると耳の聞こえが悪くなります。
特に悪いのが綿棒による耳掃除。通常の耳かきと違い、綿棒は耳垢を取るのではなく押し込んでしまうため、気がつくと鼓膜の前に耳垢の固まりを作ってしまいます。すると耳の聞こえが悪くなり、耳鼻科で吸引してもらわねばならなくなります。プールのあとなどに耳の水分を吸い取るならまだしも、奥まで突っ込むと耳垢は取れなくなり、たまりすぎると鼓膜が見えなくなることさえあります。
つまりは「見える範囲」でいいのです。
鼻掃除は気をつければ人体への影響もありませんが、耳掃除は放っておいても外に出るうえ、掃除をすると聞こえにくくなるリスクもあるのです。
また、耳垢は乾いたタイプと湿ったタイプに分かれますが、湿った耳垢は遺伝によるものです。湿っている場合、耳の中にあるアポクリン腺から分泌される汗が原因となり、体臭が強くなります。汗そのものは臭くなく、汗についたバイ菌がニオイを発し、腋臭の原因となります。
また、耳垢にはちょっとした長所もあります。虫の多い地域で耳の中に虫が入る人は少なくなく、虫が入る人には耳垢がありません。つまりは防虫効果もあるのです。
彼女の膝の上で耳掃除をしてもらうのはとても楽しい行為ですが、医学的にはやらなくていいこと、と覚えておいてください。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。
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