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死んでも「アイツ」に勝ちたかった⑧ 曙 貴乃花と繰り広げた「25勝25敗」の激闘(4)

何で協会に残らなかった?

 魂のぶつかり合いを続けた結果か。曙の礼儀正しさや謙虚な態度は相撲関係者、マスコミ、ファンからも「日本人よりも日本人らしい」と称されたものである。

 それは勘違いなんだよね。日本人とかハワイ人とかアメリカ人とか関係ないんだよ。「人間的」か「人間的じゃない」か、なんだよ。

 横綱とは、「相撲道」、自分自身の「道」だと思う。相撲で教えられた、リスペクトできるものをどこまで磨けるか。つまり「生き方」なんだよな。もちろん、勝負の世界だから勝ち続けないといけないんだけど、さっきも言ったように、それが全てじゃないんだ。

 俺の場合、横綱に上がった時、他に横綱がいなかった。多くの人が「30年、相撲観てきた。横綱はこうでなきゃ」とか、平気で言うけど、そんなこと言う人たちは誰一人として、横綱を務めたことなんてないんですよ。横綱の気持ちをまったくわかってない。横綱ってどういうものなのかは、横綱になった人しかわからないんだよ。

 勝って当たり前だし、負けたらボロクソに叩かれる。あの当時、女性と食事しただけでもいろいろ書かれた。何が悪いの(笑)。

 曙は01年、貴乃花は03年に現役を引退した。土俵を降りるまで貴乃花と会話をしたことはなかったという。

 初めて若貴と話したのはお互いが引退してから。若乃花さんとは、フジテレビが放映した引退相撲の番組で、ハワイに一緒に行ったんですよ。若ファミリーとウチの家族と。僕の実家近くの海で、ビールを飲みながら本音を話しました。

 若乃花さんがこう言ってくれたんですよ。「曙さんが楽しそうに、若い者を集めて飲みに行くのを僕も弟も遠目で見ていた。2人とも、同期入門の曙さんと飲みに行って、いろんな話がしたかったんです。でも、仲よくなってしまったら、ケガをさせたくないとかよけいな情が入って、いい勝負ができなくなってしまうからと、諦めていました。でも、今こうやって飲めるのがうれしい」

 それを聞いて泣きそうになったね。その日は飲みまくった。ベロンベロンに酔っ払ったよ(笑)。若乃花さん、俺との激しい投げの打ち合いで、土俵に顔から落ちていったこともあったから‥‥。

 そして先日、魁皇の断髪式で久々に貴乃花親方に会った。うらやましそうな目をして俺を見ていましたけどね(笑)。

「何で協会に残らなかったんだ?

 俺とお前は2人で相撲界を変えようって言ったじゃないか!」と目が訴えてました(笑)。

 横綱同士なら、目を見ただけで何を思っているか、だいたいわかるんです。

 親方、大変そうですね。頑張ってください。僕も僕のステージで頑張ります。最近はバラエティ番組にも楽しそうに出てますね。親方になりたての頃は、こんなこともするんだってびっくりしましたけど。現役引退して何かが爆発したのかもしれませんね(笑)。

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