スポーツ

稀勢の里を苦しめる「三重苦」はケガ、親方との不仲、そしてあと一つは?

 今月の14日から開催中の大相撲五月場所。3連覇がかかっていた横綱稀勢の里は5月23日までに6勝4敗。桟敷席を埋め尽くすファンの期待とは裏腹に精彩を欠く相撲が続いているが、それもそのはず。今場所の稀勢の里は3つの苦しみを抱えた中で土俵に上がっているのだ。

 1つ目はケガ。先場所負った左肩の傷は重く、場所後の春巡業や稽古総見を欠席。今場所へ出場を決めたのは初日の3日前。しかし、武器である左の威力は十分に戻っておらず、横綱になってから配給していなかった金星も与えてしまった。場所前のけいこを視察した北の富士勝昭氏の「無理をして優勝を狙う必要はない。休む手もある」という忠告も今となっては空しいばかりだ。

 2つ目は親方の存在。ことあるごとに先代師匠の鳴戸親方の話しかしないことからも、稀勢の里と今の師匠である田子ノ浦親方の間にはたびたび不仲説が囁かれてきた。加えて、その田子ノ浦親方は先述した稽古総見の際、あろうことか稀勢の里の欠席を協会に伝え忘れるという失態を演じている。こんな現親方のもとでは相撲に対する気力が削がれていたとしても不思議ではない。

 そして、3つ目は懸賞金。当代随一の人気力士となった稀勢の里にはそのぶん懸賞金も多くかけられており、その額およそ150万円。この大金が稀勢の里の対戦相手を燃え上がらせている。事実5日目に稀勢の里に善戦した千代翔馬は「130万円の超音波治療器を買うつもりだった」と懸賞金を自分のモチベーションとしていたことを口にしている。

 来る日も来る日も懸賞金欲しさに目の色を変えた力士にぶつかってこられては、さすがの稀勢の里もたまったものではあるまい。

 苦しむ日本出身横綱に、光は差すだろうか。

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