芸能

ザ・ベストテン「視聴率40%の伝説」(9)「黒柳徹子の機転に感激した」

 シブがき隊は歴代で6位となる22曲ものランクインを果たした。番組有数の“レギュラー”だっただけに、多くの場面に遭遇した。例えば、地元が近いことでシャネルズ(後にラッツ&スター)の面々には可愛がってもらったが、横浜銀蠅との「一触即発」を見た。

「シャネルズは歌い終えてソファーに座っていて、その後に銀蠅の翔さんがMCで大学の話をされていた。すると後ろから『へえ~、ツッパリなのに大学に行くんだ』って冷やかな声。シャネルズのほうが“本物”で、銀蠅の皆さんが歌いにくそうでしたね」

 後に布川がつちやかおりと、薬丸が石川秀美と結婚した ように、82年組は「ファミリー」の一面がある。デビュー間もない頃は、実は3人そろって小泉今日子が大好きだったと言う。

 ベストテンでも小泉が先に歌い、その後にシブがき隊の出番となると「バトル」が展開された。

「歌い終えた人がソファーのどこに座るか、自分たちで決めていいんですよ。僕ら3人は、誰かがキョンキョンの隣りの席に座りたい。だから自分たちの歌が終わると、マイクを音声さんに渡して猛ダッシュ。彼女のヒット曲の『学園天国』と同じで、あの席をただ1つ狙っていましたね」

 決して恋仲に発展するわけではないが、ささいな会話が楽しみだったという。

 やがて、少し遅れてチェッカーズや吉川晃司がデビューし、同じようにベストテンの常連となる。布川や本木雅弘は事務所の枠を超えて彼らと交流していたが、これを薬丸が許さなかった。ジャニーズのタレントは、他事務所の男性アイドルと親しくしないという“不文律”があったのだ。

「薬丸はマジメだから僕ら2人に説教するんです。お前ら、吉川やチェッカーズにどれだけ俺らのファンを持って行かれたと思っているんだって。その気持ちはわかるけど、でも六本木で彼らと楽しく遊んでいたから、つきあいは変わらなかったですね」

 22曲がランクインした歴史において、最も印象的な場面を聞いた。布川はすかさず、4枚目のシングル「処女的衝撃!」(83年2月)だったと答える。まるでミラーボールのような回転式の照明が2つ、彼らの前に置かれていた。日本に何台もない最新の機材を用意してくれたことに素直に感謝した。だが──、

「モックンのマイクのコードが照明に絡まって、どんどん巻き取られる形になったんですよ。するとMC席から黒柳徹子さんが飛んできて、照明を逆回転させてコードを戻してくれた。ADよりも早い機転に、さすが黒柳さんと感心しましたね」

 毎週のように順位を競う場であったが、そこは学校の延長のような楽しさがあった。デビューから32年が経つが、今なお「1度もバイトすることなく芸能界で生きてこられた」ことの原点だと語る。

〈文中敬称略〉

カテゴリー: 芸能   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
JR東日本に続いて西と四国も!「列車内映像」使用NG拡大で「バスVS鉄道旅」番組はもう作れなくなる
2
大谷翔平が「嘘つき」と断言した元通訳・水原一平の潜伏先は「ギャンブル中毒の矯正施設」か
3
【ボクシング】井上尚弥「3階級4団体統一は可能なのか」に畑山隆則の見解は「ヤバイんじゃないか」
4
リストラされる過去の遺物「芸能レポーター」井上公造が「じゅん散歩」に映り込んだのは本当に偶然なのか
5
舟木一夫「2年待ってくれと息子と約束した」/テリー伊藤対談(3)