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新庄剛志が最大賛辞を贈るも“記憶に残らなかった”甲子園優勝投手の伝説!

 あるテレビ番組で新庄剛志(元・北海道日本ハムなど)から、「すごいピッチャー。何でプロに行かなかったんだろう?」という最大級の賛辞を贈られた投手がいる。母校・西日本短大附属(福岡)の後輩投手だ。

 現役時代にしばしば“記録より記憶に残る選手”と称された、新庄の記憶に今なお強烈なインパクトを残しているその後輩は、実は1992年第74回夏の選手権の優勝投手でもある。その名は森尾和貴。

 だが、彼の名前が全国の高校野球ファンに最初に広まったのは、この夏の甲子園の直前のことだった。九州では名の知れた剛腕だったが、県大会では敗退続き。その高校野球人生は屈辱にまみれていた。その屈辱を晴らすべく、自分を追い込んで追い込んで迎えた最後の夏。ついにその右腕は実力を遺憾なく発揮して甲子園切符をつかんだ。しかも、何と県大会3回戦から51イニング連続無失点というとてつもない記録を引っさげての甲子園初見参であった。

 森尾はあこがれだった甲子園のマウンドで初戦から躍動した。高岡商(富山)との一戦で球速は自己最高の142キロをマークし、最後は5者連続三振で締めるなど、被安打わずかに2本の12奪三振。二塁を踏ませない完封劇で2-0と好発進すると、続く三重戦では被安打10を許しながらも要所を締め、3-0と2試合連続の完封劇をやってのけた。準々決勝の北陸(福井)戦こそ6-0でリードしていた最終回に1点を失ったものの、6-1で無四死球完投勝利。

 3連投となる東邦(愛知)との準決勝は、初めてフォークを使って球数100球の省エネ投球を披露。4-0で3安打完封勝利を収めて、ついにチームを春夏通じて初めての甲子園決勝戦へと導いたのである。最後の相手は西短とは対照的に3人の先発投手を使い分け、こちらも春夏通じて初の決勝戦進出となった拓大紅陵(千葉)だった。

 試合は2回裏にスクイズで西短が先制の1点を挙げた。この虎の子の1点を森尾の右腕が守り切る。7回表には1死三塁のピンチを迎えたが、この場面で森尾が投じた一球は“もしスクイズされても、フライになる確率の高い内角高め”。正確無比にコントロールされたその直球は打者のバットに空を切らせ、三塁走者を殺すことに成功。さらに最終回、2死二塁という一打同点の場面でも森尾の直球がうなりをあげた。

 この夏の甲子園で44回2/3を投げ、与四死球わずか4という精密機械のような右腕は、カウント2-2からの勝負球を狙い通りに打者のインハイに。次の瞬間、詰まった打球は力なく上がり、三塁手のグラブに収まったのだった。この大会、森尾は全5試合を完投し、4完封。与えた失点はわずかに1。金属バット導入後に45回を投げてわずか1失点という優勝投手は後にも先にもこの森尾のみという“スーパー・ピッチング”であった。

 しかし、である。この森尾の快挙を知る人は今では一部の高校野球ファンのみである。なぜか? 実はこの年の夏の甲子園は星稜(石川)の松井秀喜(元・読売など)相手に明徳義塾(高知)が5打席連続敬遠を敢行し、世論を巻き込む大論争が起こっていた。その陰に隠れた形となってしまったのだ。さらに森尾自身も高校卒業後、即、プロには進まず、社会人野球入り。そこで肩やヒジを繰り返し故障し、プロ入りを断念したことで、その名は野球ファンからも次第に忘れ去られてしまっていった。それでも、唯一、森尾の地元・福岡県下では甲子園を沸かせた伝説の右腕として、今でもその偉業は語り草となっている。

(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=

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