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記事全文を読む→天才テリー伊藤対談「ゆりありく」(3)猿のルールで上下関係を築くんです
テリー 今の活動の拠点は「日光さる軍団」なんですよね。
ゆりあ そうです。施設のある栃木に住んでいます。
テリー そもそも、猿まわしの猿って、どこから連れてくるものなんですか。だって、猿って勝手に飼ったらいけないんでしょう。
ゆりあ 私たちの場合は、鳥獣保護の範囲で扱っていまして、例えば、畑を荒らして捕まってしまったお猿さんを保護する、という形だったりしますね。
テリー 元は野生の猿なんだ。だとすると、その猿と打ち解けて、芸を教えるまでに持っていくのは、ものすごく大変なんじゃないの。
ゆりあ そうですね、最初はお猿さんにとって人間は「敵」なので、とにかく一緒にいる時間を増やすことが一番の近道ですね。おいしい食べ物をあげたり、お散歩に連れて行ったり‥‥。まず、こちらが危害を加える人ではないことをお猿さんに覚えてもらいます。でも、芸を教えるとなると、それだけでは足りなくて。
テリー 友達ではダメだということですか。
ゆりあ はい、こちらがお猿さんから尊敬をされないとダメなんです。要は“猿山のボス”になるということですね。自分よりも能力が勝っていて、「この人の言うことを聞いていれば安全だ」と、信頼してもらうことが必要になるんです。
テリー 信頼を得るって、具体的にどうするの?
ゆりあ 言葉で説明するのは難しいんですが‥‥まずお猿さんは、芸を教えようとすると、どうしてもサボろうとするんですね。そういう場合は、サボったのを見て怒るんじゃなくて、サボる前に察知して「今、サボろうとしたね!」と怒ってみたりするんですよ。
テリー 「あなたの考えは全部見抜いているんだからね!」みたいな感じだ。そりゃ確かに「かなわない」と思っちゃうかもね。俺が昔、猿まわしを見た時には、棒みたいなもので叩いて、言うことを聞かせていた感じだったけど、そういう方法はどうなの。
ゆりあ 他のところで、どういうやり方をしているかはわからないですが、うちの一門では、お猿さんに暴力を振るうことは絶対にないです。押さえ込んで背中を噛む、ということはしますけれど。
テリー 何なの、それ。
ゆりあ それが、猿山でボスが下の者たちに言うことを聞かせる時の行為なんです。
テリー ああ、いわゆるマウンティングだね。
ゆりあ はい。私たちは人間のやり方ではなく、猿のルールに従って、上下関係を築くんです。そういうことも、信頼を得るための一つの手段ですね。
テリー あと、人間と同じで、猿の中にも猿まわしの才能のないヤツがいるんじゃないですか。何度教えても覚えない、みたいなことがあった時、イラッとしたりとかないの。
ゆりあ お猿さんにもいろんな性格があって、短気だったりおとなしかったり、みたいな差は確かにあるんですが、芸に関しての向き不向きはないんですよ。お猿さんにはみんな、猿まわしができる能力があって、それを引き出せるかどうかは、教える人間側の問題なんです。覚えるためのメニューをしっかり組み立てて、どんなお猿さんでも立派に育てる。それが私たちの仕事です。
テリー それができない会社の上司なんて、世の中にゴマンといるよな(笑)。でも、その心がけがないと、あれほどの芸を見せることはできないんだろうなァ。
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