社会

伊集院静が教える男の人生流儀(4)生命の強さは「別れ」にある

──伊集院さんにとって、最新刊でも「別れる力」(講談社)というタイトルにしていますが、人生において別れを経験することで力を得るということがそういうことなんですね。

伊集院 「別れる力」ってのは、本当にあるんだよ。昔、あんまり馬券が外れるんで、ちょっと考え直そうって思って北海道のサラブレッド育成場に行ったんです。それで夕方になると一頭の仔馬がずっと泣いてるんです。「何あれ?」って聞いたら「あれは今日、母馬と別れたばかりなんだ。もう二度と会うことはない」って。ずっと母馬がいないから泣いてるんだって。

 私が「かわいそうだね」って言ったら、牧場の人は「全然かわいそうじゃない」って言うんですよ。「この馬がこのまま朝まで徹底して泣いてたら、この馬は強くなる。途中であきらめる仔馬はダメだ。あの名馬もこの名馬もみんな朝まで泣いてた」って言うんだよ。「明日の朝、牧場を見てごらんなさい」と。翌朝牧場に行くと、少し前に着いた仔馬が一斉に走りだした時、朝まで泣いてた仔馬は彼等を追いかけて先頭に立とうとするんだ。朝まで泣くってことが力を備えさせたって言うんだよ。

──その思いの強靱さが馬に限らず、生命の強さにもつながるということか。

伊集院 あとメタセコイアって世界でいちばん高い、100メートル以上まで育つ木があるんだ。その木の種が、突風によってざっと一斉に種が木から離れるんだ。その時に遠くに飛べば飛んだ種ほど大きな森を作る。下に落ちた種は母親の木の栄養分で、全部育たなくなってしまう。

 自然界は、別れる時に、力を備えていなければ生き残っていけない。別れるっていうのはすごく力を備えさせるっていうことなんだね。

 それだけの生き方で歩いていくことが別れた人への御礼なんじゃないかな。

カテゴリー: 社会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
4
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身
5
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策