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記事全文を読む→京マチ子、没後1年で振り返りたい「羅生門」で放った圧倒的「オンナの魅力」
5月12日は、2019年に女優・京マチ子がこの世を去った日である。享年95。長寿であった。
1924(大正13)年、3月25日大阪市生まれの京は、大阪松竹少女歌劇団(OSK)に入団し、娘役として活躍。49(昭和25)年に、大映に入社し、映画「羅生門」のヒロイン役が有名である。黒澤明監督は、当初、この映画のヒロインに原節子を考えていたが、どうしてもこの役をやりたかった京は、オーディションの際に眉毛を剃る意気込みを見せ、黒澤監督を翻意させたという。
1950年の映画公開時、京は26歳。匂うような美しさであったろう。監督を前出の黒澤、脚本を黒沢と橋本忍が撮影が宮川一夫を務めた。そして、音楽は早坂文雄という最強布陣で、ベネチア国際映画祭グランプリ(金獅子賞)を獲得。日本映画としての初の栄冠であり、当時、連合国軍占領下の日本を大いに沸かせ、希望をもたらしたのであった。
よく知られるように、映画「羅生門」の原作は芥川龍之介である。映画にも、《「藪の中」より》のクレジットがあるが、「藪の中」に加えて、「羅生門」を基にした脚色である。平安の乱世を舞台に、検非違使に裁かれる変死事件が作品のモチーフだが、文字通り、語源ともなった「藪の中」な話で、事件の当事者3人と事件の目撃者の計4通りの証言が錯綜する物語である。当時のポスターのキャッチがすばらしくわかりやすい。
〈むせかえる真夏の草いきれの中で繰り展げられる盗賊と美女とその夫の、息詰るような愛慾絵巻!〉
京が扮する「盗賊に性的暴行を受けた女」と「目の前でそれを見た夫」(森雅之)と盗賊(三船敏郎)がそれぞれに主張する「正義と真実」。その実相は、エゴイズムと矜持に彩られ、映画画面で印象的な木漏れ日の揺らぎに似て、時折ギラギラ照り付ける太陽光線のように鮮やかでもある。
特筆すべきは、様々な表情と身体で表現された京の圧倒的な魅力だ。夫がマムシに咬まれたと聞いた京の急に青ざめ、凍り付いたような子供っぽいくらい真剣な顔、その後の激しい「口吸い」シーン、泣いて突っ伏す姿、すがる京の「ヒップの曲線」…。いずれもが、必見の至宝シーンであり、「グランプリ女優」京マチ子の凄みが伝わる名シーンでもある。
2020年は、黒澤明生誕110年で、三船敏郎生誕100年でもある。「羅生門」を観るに、これほどふさわしい年はないかもしれない。
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