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記事全文を読む→がんには免疫の逆転の発想を! シイタケの隠された素顔「菌糸体」のパワーとは
普段、何気なく口にしている食材のシイタケ。そのシイタケを生み出す母体である「菌糸体」に、がんに立ち向かうために効果的な細胞があることが発見され、研究者たちの熱い視線を集めているという。
その研究を進めているのが、医薬品や健康食品、「熱さまシート」などの衛生用品でおなじみの小林製薬(本社・大阪府)だ。
まずはその「シイタケ菌糸体」とは何なのか。小林製薬の研究開発部、松井保公氏に話を聞いた。
「私たちが食べているシイタケは子実体と呼ばれる部分なんです。その母体となるのが菌糸体で、シイタケを作るためにたっぷり栄養を蓄えているんです」
その菌糸体に刺激を与えることで、菌糸体は子孫を残そうとして子実体であるシイタケを作る‥‥というのが、シイタケができる過程。しかし研究では、菌糸体に栄養をできるだけ溜めさせて、限界までキノコが生えない状態を保たせるのだ。
「その状態の菌糸体には、普段食べるシイタケにはない、別のいい成分があるんです。そしてこの菌糸体に、がんが発症した時に免疫力を高めようとするのをガードしてしまう『免疫抑制細胞』の活性化を弱める効果があるとわかったんです」(前出・松井氏)
免疫抑制細胞とは、もともと人間の体にあり、普段は花粉症などのアレルギーに対する体の過剰な反応を抑えるブレーキの役割を持っている。しかし、がんになると、その力ががんに悪用されてしまうというのだ。同じく小林製薬の研究開発部、川西貴氏が解説する。
「がんになると体内にある免疫抑制細胞が、がんの手によって異常に数を増やしてしまうんです。その免疫抑制細胞は、免疫力を高めてがんを攻撃しようとする『免疫細胞』の活動を邪魔して働けなくしてしまい、がんは免疫を逃れて増殖・転移するんです」
そこで、シイタケ菌糸体の成分が免疫抑制細胞の過剰発生を弱めることで免疫力が高まり、がんを攻撃することにつながる、という仕組みなのだ。しかも、がんそのものでなく免疫抑制細胞への働きかけなので、がんの部位にかかわらず効果が期待できるという。
「我々はシイタケの菌糸体という食品系の成分を研究していますけれども、医薬品の世界ではアメリカを中心に免疫抑制細胞に対する薬を開発していまして、実際に承認されそうな薬もあるんです」(前出・松井氏)
今まさに世界をあげて開発中の最先端の分野。しかし、シイタケ菌糸体についての小林製薬の研究は、20年以上にも及ぶという。
「子実体の部分にβグルカンという成分があって、この成分は80年代に病院で使う薬として承認されていました。つまり、昔からシイタケが免疫によいことはわかっていたんです。菌糸体の部分にも、もっといろんな成分があることもわかっていましたので、小林製薬も菌糸体についての研究をしてきました」(前出・松井氏)
その過程で、免疫抑制細胞は1990年代にその存在が発見され、2000年代に入ると、それががんで急増するという発表が。以降、免疫抑制細胞についての研究が盛んに行われるようになっていったのだ。
「昔は、とにかく免疫を高めようと頑張ってきましたけど、実は免疫抑制細胞にブレーキを踏まれっぱなしだった、と。それならばアクセルを踏むよりブレーキを外してあげるほうがいいんじゃないかという逆の考え方が発見されたんですね。そこで、そのブレーキに対して菌糸体がどうかかわるかという部分も研究してみようということになったんです」(前出・川西氏)
今なお研究途上のシイタケ菌糸体。その未来に向けての展望を、川西氏がこう語る。
「がんで手術をなさった人たちのいちばんの気になることは、例えば5年間再発しないかということなんです。その不安に対して、シイタケ菌糸体の成分で少しでも不安を抑えてあげるということが我々の基本にあります。ですので、データを積み重ねていって再発予防にはこれがいいですよとか、もっと細やかにお話しできるようなところを目指したいですね。免疫抑制を外すという形でサポート的に、治療がより効くようにしてあげる、その不安を解消してあげるのがいちばんの目標です」
シイタケに隠されたもう1つの素顔「菌糸体」、そして驚くべきそのパワー。がん治療の一助としてシイタケ菌糸体の名前が定着する日は、そう遠くないかもしれない。
「小林製薬のがん免疫研究」サイトはこちら
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