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野口聡一「『今ここで死ぬかも』の緊張に包まれる」

テリー 打ち上げの前ってどんな気持ちなんですか。万が一失敗したら、命に関わる大事故になる可能性もあるじゃないですか。

野口 打ち上げに臨む時の気持ちは、私は舞台に出る前の俳優さんであったり、大きな試合に臨む前のアスリートの気持ちに、すごく近いんじゃないかなと思います。

テリー 大一番の前だ。

野口 そうですね。それに向けて気持ちを高めていくんですが、きっと俳優さんやアスリートの方も同じだと思うんです。

テリー 宇宙から地球を見るというのは、どういう感覚なんですか。

野口 以前、イチローさんにお会いした時に「いやぁ、宇宙いいっすね。どんな景色なんだろう」と聞かれたことがあって。私からすると、ここで自分が打てば一発逆転みたいなヒリヒリする試合展開の中で、バッターボックスに出て行って大観衆がいるスタジアムを見上げるって、どんな景色なんだろうと思うんですね。おそらく、そういうのとまったく同じ感覚なんじゃないかと思うんですけどね。

テリー 両方とも特別すぎて、僕にはよくわからないですけど(笑)。

野口 でも、テリーさんみたいに長く活躍されている方が、例えばテレビの本番に出て行く時に見える風景ってどんなものだろうと、私は気になりますよ。

テリー 僕が見てる風景なんて、そんな大したもんじゃないですけど(笑)。よく宇宙に行ったパイロットの方が「人生観が変わった」とか言うことがありますよね。そういうのはあるんですか。

野口 人によりますね。明確に宗教的な目覚めを経験する人もいますし、少なくとも私自身はありませんでした。おそらく、こういうことかなと思うのは、普段の生活の中で「生と死の境に自分がいる」とか、「今ここで死ぬかもしれない」というような緊張感に包まれることってあんまりないと思うんですね。

テリー ないですね。

野口 自分がたくさんの死ぬ可能性に包まれていて、そこで何かミスがあったら生きて戻れない、みんなで力を合わせて帰るしかないというような場面に接した時に、初めて死生観というか、“生きている感覚”を覚えるということはありますよね。

テリー 普通は生きている実感を持つ機会もあんまりないですもんね。

野口 昔、サッカーの日本代表の監督をされていた岡田武史さんは、けっこうサバイバルがお好きなんですよね。小学生とか、小さなお子さんを無人島に連れて行って冒険をするみたいな社会教育をされてるんです。それで無人島で大変な思いをすると、遺伝子に活が入って、ちゃんと生きようとすると。それまでちょっとしたことで登校拒否になっていたような子が、「ちゃんと周りの面倒を見て、学校で頑張るようになったりするんだよ」っていう話をされていたんですね。「遺伝子に活を入れる」って、すごく格好いい言葉だなと思いますね。

テリー 宇宙ではずっとそんな感じですよね。

野口 そうですね。空気がないですし、太陽が当たっていると150度で、影に入るとマイナス120度。もう明確に死ぬしかない状況を、宇宙服1着で切り抜けるので、ほんとに「死の世界とお友達になる」感覚です。その時に初めて「生きる」ということを知る。だから、死をもって生を知る感覚ですかね。それが、いわゆる私の死生観となってますね。

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